有限会社ワコー様

取締役社長 キャリアコンサルタント 山田信子氏

愛知県名古屋市と瀬戸市で、デザイナー養成のための職業訓練校などを運営する有限会社ワコーは、2014年3月に学習サービスマネジメントシステム ISO 29990の認証を取得した。取締役社長の山田信子氏、教育人材部門の牧野佐智子氏に、ISO 29990導入のねらいと成果、今後の展望をうかがった。

社会が変化するなかで、いかに高い就職率を維持するか

有限会社ワコー(以下、ワコー)は、1996年にパッケージデザイン、グラフィックデザインなどのデザイン会社として発足し、現在は職業訓練校、人材派遣業など教育・人材事業を主要事業として活躍している。デザイン会社のノウハウを活かし、求職者を対象とした民間教育訓練機関として高い評価を得ており、クリエイティブ業界のみならず、多種多様な業界向けの人材育成、企業と訓練生の橋渡し役を目指している。

職業訓練校は県単位の入札によって事業を受託するが、ワコーは入札の際に重要な評価基準となる過去の修了生の就職率において高い実績をおさめてきた。しかし、山田社長は、日頃から漠然とした不安感を抱いていた。

「たしかに就職率は高水準を維持していますし、就職先や修了生からも高い評価をいただいています。これまでも経験や感覚に基づいてサービスの改善を重ねてきましたが、時代が大きく変化するなかで、このままのやり方で本当に間違いないのか確信を持つことができていませんでした」(山田社長)。

教育人材部門 牧野佐智子氏 教育人材部門 牧野 佐智子氏

求職者向けの職業訓練事業の入札は、年々価格競争が激しくなっており、落札が困難になってきている。また、求職者を取り巻く環境も大きく変化しており、職業訓練校にも対応が求められている。このような状況のなか、ワコーはISO 29990の導入を決定した。

「社会が変化するなかで、企業と求職者の意識のギャップが増えています。また、仕事のニーズも多様化し、ひとつの専門職だけでは務まらなくなってきています。若者の技術と意識を確実に橋渡しするためにも、私たちは訓練生にも企業にも良いサービスを提供していかなくてはなりません。そこで、ISO 29990を導入し、継続的な改善が行えるようにしたいと考えました。さらに、認証を取得することで価格以外の面で他社との差別化を図れるのではないかと考えたのです」(牧野氏)。

小さい組織だからこそ、マネジメントシステムの構築が重要

2012年10月、山田社長と牧野氏は、厚生労働省が「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」を発行したことを知り、JQAが開催するガイドライン解説セミナーに参加した。さらに、このガイドラインのベースとなっているISO 29990に興味を持ち、ISO 29990を解説するセミナーにも参加している。

「セミナーを聞いて、それまでの学校の運営に新たに何かを加えることができると思いました。少人数だから情報を共有でき、成果も上がっていると思っていたのですが、小さい会社だからこそ、ルールづくりや体系的な改善が必要だということがわかりました」(山田社長)

2013年 2月 事務局立ち上げ、情報収集
5月 システムの立ち上げ(平成25年度第1期コースから適用)
順次、文書化を実施
10月 登録ファーストステージ審査
2014年 2月 内部監査、マネジメントレビュー
3月 登録セカンドステージ審査
3月20日 認証・登録証の発行

ISO 29990導入に向けて、ワコーでは、2013年2月に事務局を立ち上げ、2013年度5月生からISO 29990対応の教育を開始できるようマネジメントシステム構築の準備を進めていった。まず着手したのは、従来から行ってきた学習サービス改善のための取り組みを整理し、「見える化」することだった。同社では、これまでも教育計画の策定、毎日の授業の記録、就職率の記録、受講者の声やインターンシップ先の意見の情報収集などを行ってきた。そこで、それぞれの取り組みがISO 29990の要求事項のどれに該当するか、ひも付けていった。

「外部の有識者に助言を得ながら、チェックリストを作ってISO 29990の要求事項と照らし合わせることで、当社の取り組みにはP(Plan)は存在していても、D(Do)に関する実施時期が明確ではなかったこと、さらにC(Check)、A(Action)までのPDCAが回っていないことに気が付きました」(牧野氏)。

一つの例が、授業に関する会議の運営である。それまでも、授業の進捗状況や採用企業の意見などをメールや会議で共有していたが、少人数の会社なので特に記録は残していなかった。ISO 29990の導入後は議事録を毎回残し、決定したことに対する実施状況をレビューするようになった。決めたことが実施できていなければ、原因がどこにあるかを究明し、確実に実施できるような改善を図っている。会議も効率化し、事前にテーマを決めて資料を用意するように徹底した。これにより、スタッフが、就職率向上という目的意識をもって取り組むようになった。

学習サービスマネジメントシステム組織図 経営者(責任者/事務局(瀬戸校 天白校))

入札時にも価格競争に巻き込まれない高いサービス品質へ

ISO 29990に取り組んだことで、就職率向上につながるサービスは見えてきたのだろうか。

「ワコーは早期再就職を目的とした職業訓練校ですから、受講生の満足度向上を図るだけでなく、採用してくれる企業の意見を大事にしなくてはなりません。ワコーの修了生が活躍してくれることで、次もワコーの修了生が欲しいと言ってもらえるようになることを常に心がけています」(牧野氏)。

学習サービスマネジメントシステムを構築するなかで、企業のニーズをより深く知るためにも、インターンシップの受け入れ先企業のアンケート結果を重視した。

3か月から6か月の短期間で行われる職業訓練コースの様子 3か月から6か月の短期間で行われる
職業訓練コースの様子

「企業は、常に即戦力を求めています。各訓練コースは3か月から6か月と短期間ですが、ワコーでは、採用する企業が新人デザイナーに求める最低限のスキルを確実に身につけることができるようにしています。雇用先で、まず仕事を任せてもらうことがスキル向上の第一歩であり、修了生の満足や後輩の就職率アップにつながるからです」(牧野氏)

このように、企業のニーズに合わせた授業と生徒への提案を行うことで、就職率をより確実に高めるためのサイクルを確立しようとしている。

「ISO 29990の認証取得が、入札にどのような効果をもたらすかはわかりませんが、高いサービス品質をアピールすることで、価格競争に巻き込まれないようにすることが可能だと考えています。また、きちんと文書に残す文化が定着したことは大きな成果です。どのような課題が残っているかを認識することにより、より良いサービスの実現に向けて改善を続けていくことができます」(山田社長)。

経営環境が厳しさを増すなかで、「心のこもったキャリア、ライセンスアップ。きめ細かなワーキングサポート」という企業理念を実現していくため、ISO 29990が重要な役割を果たしている。

有限会社ワコーの概要

有限会社ワコー
本社所在地 愛知県名古屋市
支 社 1か所(瀬戸市)
設 立 1996年
事業内容 職業訓練、派遣・人材紹介、グラフィックデザイン
従業員数 8名

ISO 29990登録情報

登 録 2014年3月(JQA-NE0002)
登録活動範囲 グラフィックデザイナーを育成する職業訓練サービスの企画、提供、及びサービス支援
関連事業所 WASパソコンマルチメディアスクール天白校
WASパソコンマルチメディアスクール瀬戸校

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