日本カーソリューションズ株式会社様

ISO 39001 認証取得事例 日本カーソリューションズ株式会社
お客さまの使うリース車両の事故を減らし、ソリューションサービスの高度化を図る

代表取締役社長 伊藤 道夫氏 代表取締役社長 伊藤 道夫氏

日本カーソリューションズ株式会社は、主として法人向けのオートリース市場で事業を展開している。社名の通り、リースを入り口に自動車にかかわる多様なソリューションサービスを提供することに力を入れている。同社は、道路交通安全のソリューションもそのサービスの一環としており、自社の方向性に合致したISO 39001に取り組み、約8カ月で認証を取得した。ISO 39001導入の背景から実際の運用、成果などについて代表取締役社長の伊藤 道夫氏にうかがった。

Q&A

事業における道路交通安全の占める位置づけや、これまでの道路安全対策についてお聞かせください。

顧客のニーズを背景に、当社の重要なサービスと位置づけ、力を入れています。

一般にオートリースは、自動車調達のファイナンス手段の一つと理解されていますが、当社では、社名の通りもっと広がりのあるソリューション事業ととらえており、道路交通安全もサービスのひとつです。オートリースにかかる費用をできるだけ抑えたいというニーズと事故を減らしたいニーズは重なる部分があります。というのも、事故を減らすことによって事故発生による費用に加えて保険料の低減も図れるからです。また事故にはレピュテーションリスク(評判リスク)もつきまといます。会社のブランドを背負った車両が人身事故を起こしてしまったら、そのダメージは計り知れません。そういう認識もあってここ数年で、法人の経営者の方々のなかに、道路交通安全へのニーズが高まってきたという感触を得ています。

当社は3年前から事故を減らすためのサービスとして「NCSドライブドクター(テレマティクスサービス)」を営業展開しています。これは、車載端末(ドライブレコーダー)を車両に搭載し、走行中の運行データを当社のデータセンターに自動送信し、車両の運行・運転状況を管理者がWeb上で容易に把握できるようにするサービスです。急発進、急加速、急ハンドルなど、ヒヤリとする危険運転を運転者個人の記録としてデータベース化し、分析を加えて交通安全に役立ててもらいます。

このほか、NCSドライブドクターの映像を活用した事故防止の講習会の実施、事故分析レポートの提供、運転適性診断テストの実施、セイフティレコーダ分析レポートの作成など、幅広いサービスをラインアップしています。

ISO 39001の認証取得の動機、目的をお聞かせください。

当社社用車の事故に加え、当社リース車両によるお客さまの事故の双方を減らし、サービスの価値を高めるバックグラウンドになると考えました。

オートリース業界では、顧客の関心事は価格重視に傾いていますが、最近では経営層を中心に交通安全のニーズも高くなってきています。そういう環境の中、交通安全に関するISO規格ができるという話は、当社にとっていい機会でした。この規格を取り入れることにより、当社がサービスを提供する交通安全対策の裾野を広げるのに、いわばお墨付きを得られた訳です。規格を理論的な裏づけとして、道路交通安全対策をお客さまに提案することは、当社の戦略と一体性があり、認証取得は大きな効果となっています。

事故を減らす活動の適用範囲は社用車だけではなく、メンテナンスリース契約を結ぶお客さまに提供するリース車両も含めました。当社はソリューションサービスを前面に打ち出し、交通安全をコンサルティングできる会社を目指しています。社内での取り組みは当然として、本業のサービスの中にISO 39001を取り込み、これまでの活動を体系化・組織化して当社サービスの価値を高めようと強く意識して推進しています。

また今回はスケジュールの関係上、本社での取り組みとしましたが、支店や営業所でも同様の情報を共有するように努めており、今期認証取得予定の大阪・名古屋に次いで各支店へも展開の予定です。

ISO 39001認証取得までの流れをお聞かせください。

8カ月間、かなりタイトなスケジュールで達成することができました。

2012年4月2日にキックオフして事務局を立ち上げ、ISO 39001の分析を行いながらマニュアル作りなどを進め、7月頃から運用を開始しました。11月30日の認証登録まで、かなりタイトなスケジュールでしたが、従業員の熱心な取り組みもあって、達成できました。

認証までのスケジュール(および予定)
2012年 4月 事務局立ち上げ・キックオフ・ISO推進計画発表(全社部支店長会議)
6月 NCS RTS方針の策定
7月 運用開始・基礎研修・支店社員e-ラーニング研修
9月 予備審査
10月 内部監査・マネジメントレビュー・ファーストステージ審査
11月 セカンドステージ審査
11月30日 認証・登録証の発行
2013年 4月 大阪、名古屋適用範囲拡大申請
11月 定期・拡大審査予定
マネジメントシステムの構築・運営体制をご紹介ください。

ISO 14001の体制も活かし、本部単位での運用体制とし、責任者・推進者を設けました。

道路交通安全事務局(リスクマネジメント部)のメンバーは14名で、各部門から必要な人材に入ってもらいました。もともと当社はISO 14001を推進してきた体制ができていました。その体制を活かし、基本的に本部単位とし、事故削減に関わりの深い部署は独立させた運用体制を作りました。各本部にはRTS責任者、RTS推進者を設け、現場レベルの運用がきちんとなされるように、職制の部長が推進にかかわることを計画に盛り込み、社長の私からもその大切さを訴えました。

道路交通安全マネジメントシステム組織図

コンサルティング会社は導入しましたか。

短期間でPDCAをしっかり回す仕組みを作るために導入しました。

取締役執行役員 加藤雅和氏 取締役執行役員 加藤 雅和氏

数社のコンペを経て、株式会社インターリスク総研にコンサルティングをお願いし、週2回は打ち合わせに臨んでもらいました。インターリスク総研には規格に精通した方もいて、用語の意味などを確認しつつマニュアル作りに協力してもらい、助けられました。そのほか教育研修など、その時々に応じた協力を得られました。(加藤氏)

RTS方針、RTS目標、RTS詳細目標をお聞かせください。

目標を二重構造にし、努力目標を高く設定しました。

RTS方針には、リース車と社用車の両方を対象とすることを明記し、交通安全対策を積極的にお客さまに提案することも盛り込みました。RTS目標・詳細目標は以下のように定めました。Ⅰ~Ⅴまでが顧客サービスを対象とし、Ⅵ~Ⅶが当社社用車を対象としています。(髙橋氏)

RTS目標は、やや高めに設定した努力目標と要求事項をクリアすべき目標の2つを設定し2重構造としました。努力目標を達成できなくても、必ず基準はクリアできるようにしたのです。(髙橋氏)

RTS目標・詳細目標では、ヒューマンエラーだけではなく、外的な環境要因に踏み込んだアプローチも行っています。Ⅰでは交通事故の要因で、道路に問題があったら改善を申し入れることを明記しています。(加藤氏)

RTS方針

私たち日本カーソリューションズは、オートリース事業の遂行にあたり、以下の取り組みを推進することにより、より安全性の高い車の利用環境を実現し、お客さま、そして社会に対して「安心」と「信頼」をご提供します。

  1. リース自動車及び当社社用車に関わる道路交通事故のあらゆるリスクを分析・評価し、経済的・技術的に可能な範囲で、道路交通安全に関する目標及び詳細目標を設定し、道路交通安全マネジメントシステムを運用します。また定期的にレビューを行い、継続的改善に努めます。
  2. オートリース事業を遂行している当社として、以下の項目を重点課題として取り組みます。
    1. 「テレマティクスサービス」他のリスク管理ソリューションをお客さまに積極的にご提案し、お客さまの道路交通安全を強力にご支援します。
    2. 当社社用車に道路交通安全マネジメントシステムを適用して、重大な事故撲滅に努めます。
  3. 当社の道路交通安全マネジメントシステムに関して適用される法的要求事項、及び当社が同意するその他の要求事項を順守し、道路交通安全を推進します。
  4. 道路交通安全教育を実施して、当社で働く又は当社のために働くすべてに人にRTS方針の理解と道路交通安全マネジメントシステムの周知徹底に努めます。
  5. RTS方針を公開し、道路交通安全に関してステークホルダーとのコミュニケーションを積極的に進めます。
  RTS目標(3年間) RTS詳細目標(2013年度)
道路の脆弱性改善報告実施により道路安全性の向上に努める。 当社が取り扱った死亡事故について重大事故分析を行い、道路脆弱性が事故の主因である場合は道路管理者に100%情報提供。
安全運行速度順守に寄与する。
車両の提供で事故抑制に努める。
『NCSドライブドクター』の導入提案。
安全運転に関わる啓発活動を促進しSDS提供社数2011年度比30%増とする。 『SDS(セーフティ・ドライバーズ・サポート)』提供社数前年比10%増(2012年度比)。
メンテナンス自動車の車検切れによる法令違反車両を排除する。 メンテナンスリース自動車の車検切れ車両0件。
お客さま向け「NCS道路交通安全プログラム」を開発する。 左記プログラムを2013年9月末までに開発。
当社社用車による死亡・重大事故を0件にする。 当社独自安全基準を順守して社用車による死亡・重大事故0件を継続。
当社社用車および運転者の日常点検・運手管理強化で法令順守項目違反に起因する事故を0件にする。 安全運転推進マニュアルと日常点検チェックシートの確実な実施。
ISO 39001の取り組みで苦労したこと、工夫したポイントをあげてください。

マニュアル作りに力を注ぎ、お客さまにコンサルティングできる人材の育成まで進めました。

リスクマネジメント部長 髙橋 聡氏 リスクマネジメント部長
髙橋 聡氏

短期間でのマニュアル作りには苦労しました。特にISO 39001はマネジメントシステム規格の共通構造を採用しています。この新たな規格構造には馴染みがなかったため、理解するのに時間がかかりました。ISO 14001のマニュアルのプラットフォームを活かせた点は助かりました。

研修活動も、コンサルティング会社の協力を得ながら、みっちりと行いました。基礎研修では、本社の約500人の従業員に対して10回に分けて行い、地方支店の従業員にもe-ラーニング研修を施しました。また最終的にお客さまのサービスに落とし込むことが重要ですから、自社で道路交通安全マネジメントのコンサルティングができる人材の育成も行いました。2段階の社内資格を設け、上位資格は、コンサルティング会社で働けるレベルを想定しました。(髙橋氏)

従業員にISO 39001の活動を周知していくにあたって、社員向けのポータルサイトに、RTS方針やキックオフの告知、イベント情報などを掲載し、タイミングのよい情報発信に努め、社内のムードを盛り上げるように工夫しました。(加藤氏)

従業員に道路交通安全の取り組みを定着させる活動をご紹介ください。

社員向けのポータルサイトや社内イントラのグループウェアで情報発信しました。

従業員にISO 39001の活動を周知していくにあたって、社員向けのポータルサイトに、道路交通安全方針やキックオフの告知、イベント情報などを掲載し、タイミングのよい情報発信に努めました。また社内イントラネットのグループウェア上にはISO 39001の掲示板を設け、国土交通省や独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)からの情報、他社の動向、規格の策定動向などを網羅して流し、社内のムードを盛り上げるように工夫しました。(加藤氏)

社員向けのポータルサイトや社内イントラネットに掲載された様々なISO 39001に関する情報

社員向けのポータルサイトや社内イントラネットに掲載された様々なISO 39001に関する情報

ISO 39001導入による効果がありましたらお聞かせください。

社用車、リース車ともに事故が減り、数字で結果が出たほか、お客さまからも反響があります。

昨年上期と比較して、社用車の事故は4割減となりました。また当社が保険契約を取り扱うメンテナンスリースのお客さまについては1割弱減りました。明確な数字として結果が出て、手ごたえを感じています。安全運転講習会の参加者を1回当たり1割以上伸ばす取り組みも順調です。特に講習会数は前年同期比158%増と盛況です。さらに認証取得以降、お客さまからの反響が多くなっており、道路交通安全に力を入れてコスト削減しましょう、という提案にはかなりのお客さまから興味をもたれます。

安全運転講習会の実績推移 ISO 39001導入後の交通事故実績

ISO 39001を今後の事業にどのように活用されていきますか。今後の取り組みの目標や展開をお聞かせください。

お客さまとともに道路交通安全に取り組めるようにしたいと考えています。

NCSドライブドクターの活用をもっと働きかけたいところです。導入だけでも事故の抑止力になりますが、あまり活用されないお客さまもいらっしゃいます。少しでも危険運転の分析などにお使いいただき、最終的には会社全体の道路交通安全の仕組みの中に取り入れてフル活用していただければと考えています。また今後はISO 39001の取り組みについてお客さま向けのセミナーも開催し、浸透を図ります。

ISO 39001は、オートリースを入り口に車にかかわるソリューション企業として、当社が伸びるプロセスの重要な部分と位置づけています。本社から支店へも適用範囲を広げるなど、今後もしっかり取り組んでいきます。お客さまに対しては、押し付けにならず道路交通安全の広がりを適宜サポートする、そういう関係作りを目指します。

社内向けISO 39001推進ポスター 社内向けISO 39001推進ポスター

お客さま向け安全運転推進ポスター お客さま向け安全運転推進ポスター

日本カーソリューションズ株式会社の概要

所在地 東京都港区芝浦
設 立 1987年2月 (2013年10月東京オートリースと合併)
事業内容 各種自動車のリース業務、各種自動車のメンテナンス受託業務、損害保険代理業
ISO 39001初回登録 2012年11月

ISO 39001 登録情報

登 録 2012年11月(JQA-RT0010)
登録活動範囲
  1. メンテナンスリース自動車の事故削減、安全啓発にかかわる提案および安全な運行管理、整備に関する管理業務
  2. 社用車の安全な運行および運行管理

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