常盤産業株式会社様

商社の事業の大前提となる道路交通安全の取り組みを国際規格を通じて変革

代表取締役 清水 英敦氏 代表取締役 清水 英敦氏

常盤産業株式会社は、単なる流通商社に安住することなく、「創作商社」を標榜し、自動車・産業機械関連のお客さまのニーズを捉え、新たなものづくりのための機会を提供している。同社はこれまでもISO 14001、ISO27001の認証取得を活用して、企業価値の向上や社内の変革を進めてきた。商社がISO 39001の認証を取得する必然性や今後の展開について、代表取締役の清水 英敦氏にうかがった。

Q&A

事業のなかで道路交通安全の占める位置づけをお聞かせください。

事故が起きればお客さまの迷惑になるだけでなく、自社の損害にもなる。安全はコストには置き換えられません。

私どもはB to Bの仕事をしていますから、お客さまのところに出向かなければ仕事が始まりません。車なくしては事業が成り立たないのです。ISO 39001は、緑ナンバーの物流会社向けの規格と捉えられているようですが、私たち商社も道路交通安全に対する認識をもつべきだと思います。安全な移動は最大前提であり、事故がないから、予定通りに仕事が進むわけです。事故が起きればすべての予定が違ってくるわけで、特に命のやりとりにまで発展すれば、すべてが崩れてしまいます。お客さまには迷惑がかかりますし、自社にも損害が出ます。いろいろなところに波及効果が出てきますから、これはコストには置き換えられません。朝に車で出かけて、夕方に無事帰ってくる、当たり前のようですが、これだけ交通事故が発生している現在、何の保証もないことをやっているに過ぎないのです。

これまでの交通安全対策はどのようなものでしょうか。

私たちの事業は、「運転イコール仕事」ではありません。だからこそ、きちんとした枠組みのもとで取り組んでいく必要性を感じていました。

従来は決まった管理手法をもっていませんでしたから、たとえば保険会社から講習の話があったら参加するといった、受動的な活動を行っているに過ぎませんでした。運転免許をもっているからといって、車を安全に取り扱えているとは限りません。定期点検をしているから大丈夫だろうと考えていたり、タイヤがすり減っていても平気で走っていたり、安全運転に対する意識が十分とはいえない状況でした。仕事のために運転をしているのであって、緑ナンバーの会社のように「運転イコール仕事」ではないですから、一日走って普通に帰って来られることが当たり前だと感じてしまうことも多いのです。だからこそ、きちんとした枠組みのなかで道路交通安全に取り組んでいく必要性を感じていました。

ISO 39001の認証取得のきっかけ、目的をお聞かせください。

今後は、自動車をもっているすべての会社にとって、取引の条件になると思います。

NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)から道路交通安全の規格が発行されるという話を聞いて、「そういうものがあるなら、すぐに認証を取得します」と言いました。今後は「自動車をもっている会社は、ISO 39001の認証を取得していないと取引をしません」、という流れになるのではないでしょうか。ISO 14001が発行されたときも「これは21世紀のパスポートで、もっていない会社とは取引をしません」と言っていたお客さまがいらっしゃいました。またISO 27001にしても、機密情報をいただいて仕事をする私たちは、認証を取得していて当たり前なのです。同じように考えると、車をもっている会社にとって、道路交通安全のためのシステムを構築することは、やっていて当たり前のことになります。ISO 39001以外にも方法はあるもしれませんが、国際的な規格にもとづいた取り組みに対して、第三者から審査を受け認証をいただくことが重要であって、勝手にやっていたのでは何の保証もないですからね。

キックオフから認証取得までの流れを教えてください。

規格の発行以前に取り組みを開始したため、事務局は苦労していました。

最初にお話があったのが2012年6月で、コンサルティングをNASVAに依頼し、月に1回指導いただきました。規格が発行される以前に着手しましたから、要求事項の詳細がはっきりしないまま、取り組みを進めざるを得ませんでした。当社はISO 14001認証を取得しているので、環境の枠組みをベースに進めましたが、規格の変更も多く、事務局は苦労していました。

認証までのスケジュール
2012年 6月 キックオフ
7月~12月 マニュアル作成
2013年 1月 運用開始
3月 内部監査
3月 ファーストステージ審査
4月 マネジメントレビュー
4月 セカンドステージ審査
5月 認証の登録・登録証の発行
マネジメントシステムの構築・運営体制をご紹介ください。

今後、ISOの規格が統合されることも視野に入れて取り組みを進めました。

マネジメントシステムは、代表取締役、安全運転管理者1名、総務1名、事務局3名の合計6名体制でつくり上げていきました。NASVAから、ISO 14001もISO 27001も、ISO 39001の規格と統合されるので、認証を取得しておくと今後が楽ですというアドバイスをいただいたので、それも視野に入れて取り組みを進めました。

道路交通安全マネジメントシステム組織図

RTS方針、RTS目標、RTS詳細目標をお聞かせください。

事故を削減していくのではなく、ゼロを継続することを目標としています。

当社は、死亡事故・重傷事故は一度も起こしていません。従って、ゼロを継続することをRTS目標としています。最初はISO 14001と同様に、前年比何パーセント削減という詳細目標を設定しようとしていましたが、事故はないのが当たり前であり、そこを基本にスタートすべきだろうと考え直しました。さらにNASVAからのアドバイスで軽微な事故に対する目標・詳細目標も設定しました。過去の事故の状況を調べるとともに、全従業員にヒヤリハットを洗い出してもらった結果、NASVAからは、軽微な事故に関しては、教育さえしっかりすれば詳細目標を達成できるのではないか言われました。私たちは、教育すべきなのは、ヒヤリハット事例を多く出してくれた人ではなく、ヒヤリハット事例のない人であると分析しています。ヒヤリハット事例の多い人は、危険に対する認識があるから安全なのです。ヒヤリハットに気づいていない人は、事故を起こして、初めてこれは危ない状況だったのだと知ることになります。事故が起きてしまった後では遅いので、ヒヤリハット事例を共有することで気づきを促したり、ドライブレコーダー搭載車を導入して運転に対する意識を変えたりすることに取り組んでいます。

RTS方針

常盤産業及びブライトライフトキワは、企業活動を通じて道路交通衝突事故による死亡者及び重傷者のゼロを継続するとともに、死亡者及び重傷者につながる交通事故及び物損事故の防止・削減に努力し、下記の方針に沿って着実かつ持続可能な取り組みを推進する。

  1. 当社社用車に道路交通安全マネジメントシステムを適用して、交通事故の撲滅に努める。
  2. 移動や輸送の安全を確保するために、可能な範囲で、道路交通安全に関する目標及び詳細目標を設定し、道路交通安全マネジメントシステムを運用する。
  3. 目標及び詳細目標は、実施状況と達成度を内部監査等で確認し、マネジメントレビューで見直しを行い、継続的改善に努める。
  4. 適用される法的要求事項、及び当社が同意するその他の要求事項を順守する。
  5. RTS方針は文書化し全従業員に周知するとともに、社外からの要求に応じて開示する。

制定 2012年12月12日
改訂 2013年 6月 1日
代表取締役 清水 英敦

RTS目標・RTS詳細目標
RTS目標 RTS詳細目標(2013年度)
死亡者及び重傷者の「ゼロ」の継続 「ゼロ」
上記につながる恐れのある人身事故の撲滅 ゼロ化
物損事故の撲滅 8件/年以下
自動車保険料415万円を3年間で200万円削減する
ISO 39001の取り組みで苦労した点や工夫したポイントをあげてください。

物流事業者ではない会社として負担にならず、なおかつ効果の上がるものに仕上げていくことがポイントでした。

私どもは、緑ナンバーの会社と違って白ナンバーであり、しかも物流会社ではありません。緑ナンバーの車両とは運行距離や、運行条件がまるで違いますから、NASVAの方も戸惑うところがあったと思います。緑ナンバーの会社と同様の要求をされると、とんでもなくレベルが高くなって、達成不可能な目標・詳細目標になってしまいます。しかし、低すぎても意味がありません。あまり負担のないものにして、なおかつ効果の上がるものに仕上げることがポイントでした。

従業員に道路交通安全の取り組みを定着させる活動をご紹介ください。

ISO 39001を外圧として利用し、社内の変革を進めました。

ISO 39001を知ったとき、これは会社を変える外圧として活用できると直感しました。日本人の癖として、自分たちではなかなか変えられないものなのです。自社で取り組みを始めますと言うと、仕事の邪魔だとか、そんなことやってどうなるのだという声が上がります。ところがISO 39001という道路交通安全の規格があって、これとこれをやらなくてはならないとなると、はい分かりましたとなるのです。これが外圧です。

ISO 39001導入によって、これまで得た成果をご紹介ください。

ただシステムを構築するのではなく、商社という仕事とのつながりを重視しました。

単に要求事項にもとづいてシステムを構築するのであれば、ただかたちをつくっておしまいになってしまいます。やるからには、本当に事故がなくならなくてはならないし、さらに広がりを持たせたいと考えました。ISO 39001は道路交通安全のための規格ですが、私たちのような商社の仕事にも、根っこのところではつながっています。

システムの構築に向けて、従業員の運転記録証明書をとったのですが、運転中に携帯電話を使用していることで検挙されている人が意外に多いことが判明しました。そこで運転中には電話を取らないことを基本としました。じつは、これは営業のスタンスにもかかわっているのです。私たちは、提案型の営業を目指しており、提案型の場合はこちらに主体があります。一方、御用聞き型の営業をしていると、電話に出ないと注文がもらえなくなるという恐怖心から電話に出てしまうのです。これは会社が目指す営業とは違います。ISO 39001の取り組みのなかで、道路交通安全と営業スタイルとの関連性が見えてきました。

今後の取り組みの目標や展開をお聞かせください。

道路交通安全の取り組みは、BCPそのものだと思います。

業務改善プロジェクト マネージャー ISO管理責任者 山本 博氏 業務改善プロジェクト マネージャー
ISO管理責任者 山本 博氏

事故はなくて当たり前ですが、いつ起きるか分からないことも事実です。最近はBCPがよくとりあげられますが、事故がない状態をいかに維持するか、これはBCPそのものだと思います。道路交通安全は、車の性能や整備状況にもよりますが、ほとんどは運転している人の注意力に依存しています。しかもこれは自分だけの問題ではありません。自分は安全運転のつもりでも、流れに乗っていなかったら、周囲のドライバーにストレスがかかります。周囲の人にストレスを与えない運転をできるかできないかで、事故に遭う確率が変わってくるわけです。車の運転は、一言でいうと気配りです。これは日本人のもっている美点だと思うのですが、お互いに気配りや譲り合いの精神をもっていることが、道路交通安全に資するのだと思います。

常盤産業株式会社の概要

所在地 本社 愛知県名古屋市中区
(関連会社:常盤ホールディングス株式会社、株式会社ブライトライフトキワ)
春日井支社
長野営業所
九州出張所、東京出張所、上海事務所
設 立 1947年
事業内容 各種生産ライン・機器のインテグレートならびに販売
最先端技術情報の提供およびコーディネート
生産システムの合理化・省人化・環境関連などトータルソリューションの提供
車両数 43台
従業員数 60名
ISO 14001 初回登録 2002年12月
ISO 27001 初回登録 2008年7月

ISO 39001 登録情報

登 録 2013年5月(JQA-RT0014)
登録活動範囲 社用車の運行および運行管理、安全管理体制の維持と事故対応
関連事業所 本社、春日井支社、長野営業所、株式会社ブライトライフトキワ

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