松浦梱包輸送株式会社様

安全に運ぶことは、サービス品質を維持・向上するために不可欠な要素

代表取締役社長 松浦 康之氏 代表取締役社長 松浦 康之氏

2013年8月、静岡県初(当機構調べ)となるISO 39001認証を取得した松浦梱包輸送株式会社は、自動車用部品やLPガスの輸送事業、廃棄物の収集・運搬事業、イベント・旅行関連事業、自動車部品の入出庫・保管事業を展開している。貨物と旅客、2つの異なる輸送事業を展開する同社がISO 39001を導入した背景や効果、また、すでに認証を取得しているISO 9001、ISO 14001との連携などについてうかがった。

Q&A

事業のなかで道路交通安全の占める位置づけをお聞かせください。また、これまでの交通安全対策はどのようなものでしょうか。

サービス品質の維持・向上のためにも交通安全は重要という認識のもと、ドライバーだけでなく全従業員に教育を実施しています。

当社では年2回、ドライバーだけでなく全従業員を対象に、交通安全講習会を開催しています。当社の事業の約半分を占めるのが輸送業務ですから、交通安全はサービス品質の維持・向上のためにも極めて重要です。近隣の掛川警察署交通課に講話をいただいたり、外部の機関にお願いしたりして、交通安全の大切さ、重要さを啓発するための講習を行っています。またドライバーに対しては、毎月の無事故に対する報奨制度と、5年間または10年間無事故に対する表彰制度を設け、モチベーションの向上につなげています。

ISO 39001の認証取得のきっかけ、目的をお聞かせください。

輸送業務に関わるものとして、安全運行は使命であり責務であるとの考えのもと、ISO 39001の認証取得に取り組みました。

ISO 39001を知ったきっかけは、昨年のJQAのセミナーです。当社は労働安全衛生についても取り組んでおり、OHSAS18001(労働安全衛生マネジメントシステム)の認証取得を検討しましたが、輸送における安全運行が最大の課題であり、安全は最大かつ最低の品質条件であると考え、ISO 39001の認証取得を進めることにしました。従来から運輸事業者の義務として運輸安全マネジメントシステムに取り組んでいましたが、より効果的にPDCAを回す仕組みとしてISO 39001が必要だと考えたのです。

キックオフから認証取得までの流れを教えてください。

リスクをすべて洗い出したうえで、実際に運用しやすいマネジメントシステムにするためにポイントを絞っていきました。

コンサルタントを一般社団法人 中部産業連盟にお願いしたうえで、まず色々な情報収集を行いました。日本で初めてISO 39001認証を取得された愛知県の名正運輸株式会社さまからお話をうかがったり、中部産業連盟が開催するISO研究会に参加したりしました。そのうえで2012年11月にキックオフし、12月にプロジェクトチームをつくり、コンサルタントと密に話をしながらリスクを洗い出し、計画を立てていきました。最初は、すべてのリスクを管理しようとしていたのですが、ファーストステージ審査で審査員より、限られた資源でマネジメントシステムを運用しなくてはならないのだから、管理項目も絞った方がいいのではないかというコメントをいただきました。結果、すべてのリスクを洗い出したうえで、管理のポイントを絞ったというかたちになりました。これによって、管理者もやりやすくなったと思います。

認証までのスケジュール
2012年 11月 キックオフ
12月~2013年4月 準備期間(文書化など)
2013年 5月 運用開始
6月 内部監査・マネジメントレビュー
7月 ファーストステージ審査
8月 セカンドステージ審査
8月 認証・登録証の発行
マネジメントシステムの構築・運営体制をご紹介ください。

ISO 39001の認証取得にあたって、新たに運輸管理部を設置しました。

当社はISO 9001、ISO 14001認証も取得し、それぞれの事務局がありますが、今回のISO 39001認証取得にあたっては、運輸管理部を新設し、事務局として全体をコントロールする役割を担いました。運輸管理部の当面の目標はISO 39001の認証取得でしたが、本来の目的はマネジメントシステムの維持・向上を図っていくことですから、これからの活動が非常に重要だと考えています。ISO 39001の究極目標は、交通事故を減らし、悲しい思いをされる方を一人でも減らすことですから。

運輸管理部が設置される以前は、事故削減のための専門部署があったわけではなく、トップの指示のもと各運輸部門(第1~第3輸送部)またはジーネット(バス部)がそれぞれ取り組んでいました。運輸管理部ができたことで、今回の認証取得範囲ではない部門の情報も収集管理し、全体を把握できるようになりました。また、高速道路の集中工事や交通規制などの情報、お客さまの構内の交通規制情報、通学路などの近隣の交通規制情報が一元管理できるようになったことで、従来より数段情報が有効に活用できるようになりました。

道路交通安全マネジメントシステム組織図

RTS方針、RTS目標、RTS詳細目標をお聞かせください。

「無事故による運行」を社会的使命とし、活動のレベルアップを図っていきます。

初年度である今年度は、背伸びをしないという考えで、ISO 39001認証取得をRTS詳細目標としていますが、今後はマネジメントシステムを定着させ、ヒヤリハットや事故情報をもとに次年度の詳細目標へとローリングしていきます。重大事故・加害事故をゼロ件にするという目標は変わらないですが、詳細目標をレベルアップしていきます。

RTS方針

輸送の安全に関する方針
われわれは、交通事故による交通弱者の死傷者増加を、深刻な問題ととらえ、『無事故による運行』が社会的使命と認識し、全従業員が運行の安全確保を実現するための活動に積極的に取組み、地域社会の道路交通事故削減に貢献する。

道路交通安全行動方針

  1. 道路交通安全に関する法規制と組織が同意するその他の要求事項を遵守する。
  2. 経営層と従業員のコミュニケーションを図り、適切な道路交通安全対策を実施する。
  3. 自らの組織が関わった道路交通衝突事故及びヒヤリハット情報を調査、分析し、結果を公表することにより、地域社会の交通事故削減に寄与する。
  4. 『無事故による運行』を実現するため、輸送に関する道路交通安全管理体制を整備する。
  5. このRTS方針達成のため、RTS目標を設定し、運行に関わる全従業員を挙げて道路交通安全マネジメントシステムを推進する。また、RTS方針とマネジメントシステムを定期的に見直し、必要に応じて改訂を行う。

2013年6月14日 松浦梱包輸送グループ代表者
松浦 康之

ISO 39001の取り組みで苦労した点や工夫したポイントをあげてください。

貨物と旅客の違いを超えて、事故をなくすという目標に絞り込みました。

当社には、自動車部品や廃棄物などの貨物をトラックで運ぶ部門と、観光旅行など旅客をバスで運ぶ部門があります。トラックはトラック協会、バスはバス協会があるように、業界も違えば、考え方も異なります。リスクを特定するために、各部門の責任者に集まってもらい検討会を進めたのですが、意見がまとまらないこともありました。そこで、リスクに関しては、トラックとバスに共通するもの、およびバスに特有のものの2つに分類しました。そして最終的な目標を、事故をなくすという1つのターゲットに絞り込みました。 新設した運輸管理部の責任者は、運輸部門・バス部門・ISOの事務局すべてを初めて担当することもあり、運行に必要な基礎知識やISOに必要な基礎知識の習得により大変苦労したと思いますが、各責任者の話に耳を傾け『全員参加型』でのマネジメントシステム構築により、部門間の壁もなくなり組織的なコミュニケーション能力もレベルアップしたと思います。

ISO 39001導入によって、これまで得た成果をご紹介ください。

運輸管理部を設けたことで、情報展開がスムーズになりました。

まず、ドライバーの意識が変わってきたことがあげられます。これまでヒヤリハット情報はあまり集まっていなかったのですが、システム運用開始直前の4月から8月までの累計で、認証取得範囲ではない部門も含めて、345件(運行のみ)のヒヤリハット情報が寄せられました。交通安全に向けて、自分の活動を他のドライバーに共有してもらおうという意識が高まっていることのあらわれです。ヒヤリハット事例や事故事例については分析を行い、全員に分かりやすいようにイラストにして、交通安全講習やジョブミーティングで共有するようにしています。

また、静岡県トラック協会がドライブレコーダーを会員企業に貸与する事業を活用し、全車両にドライブレコーダーを搭載することで事故情報を映像で共有する仕組みをつくりました。ドライブレコーダーが搭載されていることでドライバーに対する抑制効果になりますし、運輸管理部を窓口にして、たとえ被害事故であっても事故の情報は関係者すべてにメールで展開し、相互チェックを行っています。事故は各営業所にとってはマイナス要因であるため、これまで他の営業所にはなかなか展開できていませんでしたが、運輸管理部をつくったことで、情報展開がスムーズにできるようになりました。また、運輸管理部から『事故速報』を関係部署に速報ベースで情報展開することにより、経営層までの情報伝達がスムーズに実施されるようになりました。

分かりやすくイラスト化した過去加害事故分析事例分かりやすくイラスト化した過去加害事故分析事例

今後の取り組みの目標や展開をお聞かせください。

ISO 39001、ISO 9001、ISO14001、それぞれの取り組みが関連していくことが重要だと考えています。

今回は本社の輸送部門とグループ会社のバス部門のドライバー78名を対象にISO 39001の認証取得を進めてきましたが、今後はグループ全体157名のドライバーを対象に同様の取り組みを進めていきたいと思っています。

これまでも当社は重大加害事故ゼロを品質の一部ととらえ、ISO 9001の一環として取り組んできました。今回はISO39001の認証取得にともない、道路交通安全を独立させましたが、本来は品質も、環境も、道路交通安全も、それぞれが関連した取り組みを進めていくことが重要だと思います。当社においても品質と環境と道路交通安全の目標を別々に設定していること自体、まだまだマネジメントシステムを活用しているとは言いがたい部分もあると考えています。エコドライブを行うことや、交通事故を削減することは、品質の向上にもつながるわけです。現在、それぞれの関係者で統合を検討していますが、なるべく簡素化し、運用効果の高いマネジメントシステムにしていきたいと思っています。

運輸事業部 運輸管理部 部長代理 主管 佐藤 昌弘氏 運輸事業部 運輸管理部
部長代理 主管
佐藤 昌弘氏

専務取締役 松浦 克則氏 専務取締役
松浦 克則氏

松浦梱包輸送株式会社の概要

本社所在地 静岡県掛川市
営業所 3カ所
配送拠点 6カ所
倉庫 2カ所
(2013年8月現在)
設 立 1970年(創業1968年)
事業内容 輸送事業、入出庫管理事業、廃棄物収集/運搬事業、イベントサポート事業、貸切バス・旅行事業
車両数 137台(2013年8月現在)
従業員数 410名(2013年8月現在)
ISO 9001初回登録 1998年8月(JQA-2561)
ISO 14001初回登録 2000年8月(JQA-EM0957)

ISO 39001 登録情報

登 録 2013年8月(JQA-RT0021)
登録活動範囲 トラックにおける顧客支給品の運送業務
廃棄物(一般・産業)の収集運搬業務
ステージカーの運行管理
旅客運送業務(貸切・乗合)および送迎バス等の運行管理受託業務
関連事業所 本社
[トラックにおける顧客支給品の運送業務]
[廃棄物(一般・産業)の収集運搬業務]
[ステージカーの運行管理]
ジーネット株式会社
[旅客運送業務(貸切・乗合)および送迎バス等の運行管理受託業務]

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