東宝ビル管理株式会社様

東宝ビル管理株式会社 エネルギーマネジメントISO 50001はISO 14001を活性化する絶好の機会「マネジメントシステムを経営戦略の突破口に!」ISO 50001を活用し、業務改善を行い、エネルギーの削減及び社内の活性化を図る。

東宝ビル管理株式会社は、阪急阪神東宝グループの総合建物管理会社である。東宝直営の劇場清掃業務により創業し、時代とともに事業分野、顧客層を広げ、現在では総合的な建物管理業務を展開している。同社は2013年4月、ISO 14001との複合審査によりISO 50001を認証取得した。ISO 50001に取り組んだ目的は何か、ISO 14001とISO 50001を併せて取ることで、どのような効果があったのかなどについて事務局メンバーにうかがった。

(記事中の役職や組織体制はインタビューを行った2013年7月5日時点のものです。)

ISO 50001の取得に向かった理由とは

常務取締役 総務・人事・経理担当 兼 総務部長 川口明氏 常務取締役 総務・人事・経理担当
兼 総務部長 川口 明氏

東宝ビル管理株式会社は、主軸の清掃のほか、設備、警備、受付業務など総合的な建物管理業務をお客さまへ提供している。官公庁、医療福祉施設から駅、駐車場まで幅広い顧客に対応するなかでも、オフィスビルを数多く手がけ、また、劇場管理業務のノウハウを買われ、大型の商業施設なども得意としている。同社では、近年「環境」「エネルギー」「防災」を事業における重要項目の三本柱として重点的に取り組んできた。
「環境についてはISO 14001の活動を10年以上続けており、エネルギーについても、環境の付随テーマとして活動してきました。東日本大震災が起こり、エネルギー節減の大きな社会的要請の中、ISO 50001を取得することが事業展開の中での大きな役割を果たすツールであると思いました。」(川口常務取締役)

取締役 設備・警備担当 谷口雅彦氏 取締役 設備・警備担当
谷口 雅彦氏

そして同社は、2012年にはISO 50001の認証取得を決断する。その背景には越智幸次代表取締役の強い意志があったという。
「越智社長はISOの運営に対して非常に熱心であり、ISO 50001に対しても認証取得に積極的でした。競合他社に打ち勝つには必須の規格であり、さらなるサービス向上の為、早期に認証取得して欲しいと言われました。」(谷口取締役)
競争の激しいビルメンテナンス業界において、ISO 50001が、対外的に差別化を生み出す要因になるという考えがあったのである。

マネジメントシステム構築を自社スタッフだけで進める

>設備部 設備管理室長 逢阪武利氏 設備部 設備管理室長 逢阪 武利氏

ISO 50001の取り組みは、本社を対象として2012年2月にキックオフし、準備期間も含め、1年あまりの期間を経て認証取得に至った。
「ISO 14001でエネルギー管理の基礎はできていましたから、それをISO 50001の規格に適合するようにアレンジしていきました。2012年5月に、従来の環境方針に少し手を入れ、『環境・エネルギー方針』として新たに打ち出しました。そして、その方針を基に実際の運用に移行しました。フレームだけできても中身のないものになってはいけません。そぐわないフレームの形骸化を避けるべく、運用を行いつつ、並行してマニュアル、関連帳票類等の整備を行うスタイルで進めていきました。」(逢阪室長)

ISO 14001のシステム構築の際はコンサルタントを導入したが、今回はすべてを自社のスタッフが行った。各部門から精鋭を集め、総勢10名で事務局の活動に取り組んだ。
「ISO 14001の仕組みは、コンサルタントが深くかかわって作成されており、10年経つうちに実態にそぐわない部分も見えてきました。これまで培ったものを生かし、反省を踏まえながら自前での取り組みにこだわりました。」(川口常務取締役)

ISO 14001, ISO 50001組織図

ISO 14001, ISO 50001組織図

業務改善で残業を減らし、電力削減につなげるアプローチ

総務部 総務課長 南あき氏 総務部 総務課長 南 あき氏

どのようにエネルギーを削減するか。ISO 14001でのベースがあったとはいえ、本社はビルのフロアの限られた区間を使っており、使用エネルギーはほぼ電力のみで、使用量も原油換算で約25(kl/年)と大きくない。
「もちろん、設備を入れ換えての削減も実施しましたが、それ以上に業務を効率化し、その結果電力を減らそうというアプローチに力を入れました。」(逢阪室長)

独自の取り組みとしては、従業員の持ち回りで、電気メーターを始業前・始業後に検針し、勤務時間内・時間外の使用量を調べ、会社玄関横に『電力使用量』を掲示して従業員に周知し、残業を減らすよう呼びかけたりする活動を継続している。
「逆に考えれば、業務効率化を図るためにISO 50001を利用しているともいえます。エネルギー削減といいつつ、実際には業務改善を推進している。言わば、“省エネ”という合言葉で業務改善を行っている。業務改善といえば、整理整頓がキーになってきます。そこで何をすべきかを問いかけて、従業員から「一斉清掃をやりましょう」というアイデアが生まれてきました。」(逢阪室長)

このほか天井照明の反射板を磨くことで、蛍光灯の間引きを行うが、照度を維持し、電力の削減を行うなどの取り組みを進めた。
「自らができる事を考え、実務に根差した“身の丈にあった省エネ”に取り組みました。」(南課長)

設備部 設備管理室 係長 嶋田光克氏 設備部 設備管理室 係長 嶋田 光克氏

2011年の年間電力使用量をエネルギーベースラインとし、エネルギー目標はエネルギーベースラインから20%の削減とした。
「設備更新で10%の削減は確実でしたから、そこからさらに10%の削減を実際の目標としたのです。」(嶋田係長)

その結果、設備の入れ換えでの削減が10%、実際のさまざまな施策・取り組みによる削減が18%となり、トータルとして目標を上回る28%削減を達成した。

ISO活動実施一覧
実施日 内容
第1回 2011/6/1 環境パトロール
第2回 2011/8/1 環境パトロール
2011/11/1~12/29 環境活動推進キャンペーン
第3回 2011/11/17 環境パトロール
第4回 2012/4/10 環境パトロール
第5回 2012/6/1 環境パトロール
第6回 2012/7/30 環境パトロール
2012/9/1~9/30 家庭におけるエコ活動キャンペーン
第7回 2012/12/10 環境パトロール
2012/12/25~2013/1/11 環境調査アンケート
2013/3/1~2014/2/28 家庭に於ける検針・節電キャンペーン
2013/3/11~3/29 ノー残業デーに関するアンケート
第8回 2013/4/9 環境パトロール
第9回 2013/7/8 環境パトロール

活動事例

ISO 14001のブラッシュアップの機会に

東宝ビル管理では、ISO 14001とISO 50001の違いをあまり意識せず、相互に歩調を合わせた取り組みを進め、一体の仕組みとして構築した。

「ISO 50001はISO 14001にプラスアルファするイメージで取り組むことができました。ISO 14001を構築する労力を1とすれば、その4分の1ほどの力を使うだけですむと感じています。効果としては、原点に戻った見直しができ、ISO 14001のマニュアルの不備もよくわかりました。それ以前のISO 14001の活動に行きづまりを感じている組織は、ISO 50001に取り組んでみたら、“実務に根差した”マニュアル・帳票類作成の見直す機会になるなど、ISO 14001をブラッシュアップする効果を得られると思います。」(逢阪室長)

ISO 14001、ISO 50001の共通した取り組みには、従業員が応募する『環境活動提案書』もある。環境、エネルギーに関する事をはじめ、多様な業務改善の提案なども含めた質の高い内容となっており、昨年だけでも64件の提案があり、うち44件が採用されたという。

環境活動提案書(記入例)

また、ISO事務局での活動を人材育成(人財育成)の場として活用しようという流れもできてきた。「ISO事務局は“学びの場”として最適です。PDCAの手法を学ぶ場、プロジェクト運営の手法を学ぶ場、そして、会社をよくするために部門を越えて意見交換をする場、に最適です。ISO事務局は、常に人が入れ替わりながら、より多くの者が学んでいければと考えています。」(谷口取締役)

事務局メンバーの皆様 事務局メンバーの皆さま

エネルギーマネジメントをお客さまへのサービスとして展開

東宝ビル管理では、現在は本社にのみ適用しているISO 50001を、今後は、お客さまへのサービスとして提供できる仕組みに進化させていく構想を持っている。阪急阪神東宝グループ内の物件で実績を積み、さらに他のお客さまの物件へと広げていく考えだ。

「最初からお客さまへのサービスとしてISO 50001を構築しようとしたら、非常に大変なものになると思います。PDCAの手法を応用し、ステップバイステップで少しずつ広げていくことが、着実に実を結ぶと思います。ISOのキーワードは『継続的改善』ですから、はじめから終着点を決めるのではなく、『継続的改善』を行い“育てて行く”イメージが大切だと考えています。そのためにもISO 50001認証取得にチャレンジしていくことを広く訴えていきたいですね。」(逢阪室長)

東宝ビル管理株式会社(阪急阪神東宝グループ)の概要

所在地 大阪市北区梅田1丁目3番1-700号
設 立 1960年9月1日
従業員数 1,349名(2013年5月15日現在)
事業内容 総合建物管理業(清掃業務、設備管理業務、警備業務、各種サービス業務)
ISO 9001初回登録 2001年6月 JQA-QM6692
ISO 14001初回登録 2002年5月 JQA-EM2388
ISO 50001初回登録 2013年4月 JQA-ER0006

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