情報誌 ISO NETWORK Vol.23

JQA Business Frontline FSSC 22000の認証サービスを開始しました。

JQAは、国際的な食品安全のベンチマーク規格であるFSSC 22000:2010の認証サービスを開始し、6月17日には、株式会社トッパンパッケージングサービス 嵐山工場が、JQAとして最初のFSSC 22000認証を取得しました。

審査事業センター審査事業センター
食品安全審査チーム長
岩本 昌也

食品安全マネジメントシステムの豊富な実績を生かし、充実した認証サービスを提供

JQAはHACCPの審査を1999年に開始し、ISO 22000についても2005年にいち早く認証サービスを開始するなど、食品安全に関し12年にわたる審査経験を有しています。現在、ISO 22000について19名の審査員を擁していますが、うち10名がFSSC 22000の審査資格を有しています。FSSCの審査員資格基準は食品製造業に5年以上従事していることが条件となっており、国内の認証機関随一の充実した陣容といえるでしょう。JQAの審査チームでは、豊富な審査経験で得た知見を全員で共有し、質の高い審査が行える体制を敷いています。

なお、JQAはFSSC 22000の認定を公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)から2011年中に受ける予定です。

現場を重視した審査

FSSC 22000では、食品安全の前提条件プログラム(PRP)を主にハード面から約200項目にわたって詳細に規定しています。JQAは、従来から現場を重視した審査に力を入れてきましたが、これらの事項の確認のため、ISO 22000で業務の概要を把握するために行っていたブリーフツアー(企業内概略見学)を審査に活用しています。たとえば、FSSC 22000には外周の要求も多くありますが、セキュリティ、廃棄物、防虫などについての対応をブリーフツアーの際に確認します。このブリーフツアーは登録審査の1stステージ、2ndステージで各々実施します。

システム構築でご留意いただきたい点

まず、PRPについてもISO 22000の検証(7.8項)を使って管理され、問題が見つかれば改善していくPDCAが回っていることが必要です。妥当性の確認なども見落とされることが考えられるのでご留意ください。また、アレルゲンの管理(PAS 220 10.3項)は原料から製品までの保管において、コンタミネーションを回避する術を確立している必要があります。例えば、(1)原料倉庫における原料の隔離、(2)工程中での半製品の隔離、(3)計量における使用器具の共用、飛散等による混入の回避、(4)アレルゲン含有製品の再生時の承認、(5)生産ラインが専用でない場合の生産後の洗浄とその適切性の検証、などが挙げられます。

ISO 22000の審査では、フローダイアグラムに沿って工程を見ることが一般的ですが、FSSC 22000ではPRPに関し約200項目の要求事項を確認します。対応に漏れが無いよう、チェックリストを活用するなど工夫されることをお勧めします。

FSSC 22000を取り巻く状況

FSSC 22000は大手飲料メーカーが取引先に当規格の認証を要求し話題となりましたが、2011年に入って国内大手流通企業も取引先に認証取得を推奨するなど、食品業界で認証取得に向けた動きが活発化してきています。また、7月に食品容器包装材料メーカー向け前提条件プログラムPAS 223が発行され、これまで食品メーカーが対象であったFSSC 22000の認証範囲が食品包材メーカーにまで広がる可能性もあり、今後の動向に注目が集まっています。

JQAはFFSCやGFSIの国際会議に参加しており、今後も最新の情報をホームページやセミナーを使って発信していきます。

注:FSSC(Food Safety System Certification)
FFSC(Foundation for Food Safety Certification)