中央運輸株式会社は1977年(昭和52年)より保冷医薬品共同配送をスタート。現在は医薬品をはじめ、医薬品の原料、医療機器、その他周辺アイテムなどの保管・輸送を行っている。
医薬品の物流については、2018年に厚生労働省が発出した「GDP(Good Distribution Practice/医薬品の適正流通基準)」と呼ばれるガイドラインがあり、流通過程における医薬品の品質保証を目的としたさまざまな基準が示されている。
「医薬品の品質は生命に直結するものですので、医薬品物流にかかわる事業者にとってGDPの遵守は大前提といえるでしょう。当社では日本版GDPが発出される以前から、WHO(世界保健機関)が出していたGDPにのっとって温度管理や衛生管理などを徹底してきました」(関山氏)。
医薬品の品質確保に欠かせないポイントの一つが温度管理である。
中央運輸株式会社では100台近い医薬品専用保冷車を保有しているが、なかでも特に厳格な温度管理輸送が必要なものに対しては、GDP対応の医薬品温度管理車両で目的地にダイレクトに配送する「ダイレクトクール」を実施。
さらに17ある物流拠点のうち、岩槻や仙台などいくつかの物流拠点は、GDP対応の医薬品保冷ターミナル「メディカルクールターミナル」として運用し、荷さばき時の温度暴露を防ぐオートシェルターや万一の停電に備える非常用電源など、万全の設備体制を整えている。
同社の温度管理を下支えしているのが、車両に設置された温度センサーやターミナルに設置された温度ロガーである。このシステムによって、温度の推移は常時自動監視されており、異常を感知すると、24時間稼働の監視センターに伝えられる。
「私ども品質管理室で管理している温度ロガーは、中央運輸全体で300台くらい。協力会社などを含めると500台以上に上ります。そのうちの約35台を標準器として、2年に1回、JQAに校正を依頼しています。そして、その標準器を使って年1回、車両や倉庫に据え付けの温度ロガーを社内校正しています。社内校正については、校正の手順書をつくり、それをもとに一定の教育を受けた各事業所のスタッフが実施しています」(関山氏)。
温度ロガーの校正をJQAにご依頼いただくようになったのは2022年から。同年開催の医薬品業界向けの展示会にて、関山氏がJQAのブースを訪れてくださった際に、私どもがGDP対応の校正サービスについてご紹介したことがきっかけとなった。
JQAに校正を依頼するようになって良かったことなどをお聞きした。
「JQAにお願いする以前は温度ロガーのメーカーに校正を依頼していました。当社は複数社の温度ロガーを使っており、それぞれの製造業者に校正を依頼する必要があるので手間が掛かっていましたが、メーカーを問わず対応可能なJQAに依頼するようになったことで、それが解消できました。校正証明書が一つにまとまるので管理しやすいという面もあります。また、GDPに“校正は国家計量標準でトレースできるもの”という規定があるのですが、JQAの校正であれば、それもクリアできます。料金的にもGDP対応向けのプランがあることで納得できる金額になっています」(関山氏)。
中央運輸株式会社の皆さま
中央運輸株式会社の皆さま