『AI・ヒューマノイドは未来を拓くか』セミナーレポート
(産総研 名誉リサーチャー 比留川氏ご登壇)

今回のロボトレンドでは、2026年7月に当機構が開催した無料WEBセミナー『AI・ヒューマノイドは未来を拓くか』より、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 名誉リサーチャーの比留川 博久氏にご講演いただいた内容の一部をご紹介します。
近年、世界的に注目を集めるヒューマノイド。本セミナーでは、約30年にわたるヒューマノイド開発の歴史を振り返るとともに、フィジカルAIの最新動向や日本が今後競争力を発揮できる領域について解説いただきました。ヒューマノイドの最新動向やロボットとAIの融合がもたらす未来に関心のある方はぜひご覧ください。

※ご登壇者の役職は開催当時のものです。

この記事で分かること

  • ヒューマノイド開発が再び世界的なブームを迎えている理由
  • 「なぜ二足歩行なのか」という30年前から続く問いへの考え方
  • これまで実用化を阻んできた課題はどこまで克服されたのか
  • 次世代ロボットの普及を左右する重要な技術テーマ
  • AI・ヒューマノイドが社会実装される未来の実現性

1.30年前のヒューマノイドロボットの開発ブーム

比留川氏はまず、1996年にHondaが発表したヒューマノイドロボット「P2」に触れながら、ヒューマノイド開発の歴史を振り返った。

「Honda P2を見たとき、その場にいた5、6人がしばらく口を聞けないほどの衝撃だった」

と、比留川氏は当時の驚きを明かした。

当時、二足歩行ロボットの実現は困難と考えられていた。しかしP2の登場は、そうした常識を大きく覆し、国内におけるヒューマノイド研究開発が盛り上がる契機になったという。

一方で、当時から「なぜ二足歩行である必要があるのか」という議論は繰り返し提起されていた。これに対し比留川氏は、「人間の形をしていることそのものに意味がある。人間のためにつくられた環境や道具をそのまま利用できることがメリット。」と説明していたことを紹介した。
例えば、階段やはしごの昇降、危険物処理、トンネル工事、人間向けに設計された車両の操縦など、人が活動する環境に適応しやすい点は、二足歩行ならではの強みである。その反面、不安定で転倒リスクが高いことや、転倒時に機体が壊れやすいことなど、課題も少なくなかったと指摘した。

さらに、2005年に策定されたヒューマノイド実用化ロードマップ(2005年~2026年)を示しながら、当時想定されていた活用領域についても解説した。そこには、自動車工場をはじめとする製造業や物流センターでの活用は含まれていなかった。この点について比留川氏は、原子力等プラント点検や人間のための機器の操作、エンターテインメントといった、二足歩行の利点が発揮できる用途を中心に実用化が検討されていたと振り返った。

2.技術革新の概要

続いて比留川氏は、近年ヒューマノイドが再び大きな注目を集めている背景について解説した。


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