サービスロボットの導入前に確認すべき4ステップ|選定から運用体制まで

サービスロボットの導入において、「自社に合う製品をどう選べばよいか」「導入前に何を準備すべきか」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。期待する効果を得るためには、導入目的を明確にし、サービスロボットの機能や安全性を確認した上で、現場環境と運用体制を整えることが重要です。本記事では、施設内への導入を想定し、サービスロボット選定から運用開始前の準備まで、押さえておきたいポイントを4つのステップで解説します。
なお、本記事では、ロボットサービスを提供する責任主体と、ロボットを導入して運用する主体が同一の企業であるケースを前提としています。

ステップ①
解決したい課題と導入目的を明確にする

サービスロボットを選ぶ前に、まずは自社が抱える課題を整理し、導入によって何を実現したいのかを明確にします。目的が曖昧なままでは、必要な機能や性能、使用条件を判断することが難しくなるためです。

自社の課題を整理する

課題を整理する際は、「人手不足を解消したい」「業務を効率化したい」といった大きな目的にとどめず、どの業務に時間がかかっているのか、どのような作業が従業員の負担になっているのかまで具体化することが大切です。

また、導入後に効果を確認できるよう、対象となる業務をどのような状態へ改善したいかも考えておきましょう。

ロボットに任せる業務と使用場面を具体化する

次に、整理した課題を踏まえ、ロボットに任せる業務の範囲を明確にします。

例えば、床面の清掃、利用者への案内、物品の搬送、料理の配膳や食器の下げ膳など、ロボットに任せる具体的な業務を整理します。業務の全てをロボットに任せるのか、一部を従業員が担うのかについても検討が必要です。

併せて、使用する時間帯や場所など、想定する使用場面も整理しておきましょう。導入目的、任せる業務、使用場面を具体化することで、サービスロボットに求める機能や性能、選定時に確認すべき使用条件が明確になります。

ステップ②
自社に合ったロボットを選定する

導入目的とロボットに任せる業務を明確にしたら、条件に合うサービスロボットを選定します。同じ用途のサービスロボットでも、製品によって機能や性能、想定する使用環境などは異なるため、複数の観点から比較することが重要です。

機能や価格、保守体制を確認する

まずは、ロボットに任せる業務に必要な機能が備わっているかを確認します。その上で、積載量や走行速度、連続稼働時間などの性能が、実際の使用条件を満たしているかを判断しましょう。

例えば、搬送に使用する場合は、実際に運ぶ物の重量や形状に対応できるか、必要な時間継続して稼働できるかを確認します。また、日常的に使用する従業員にとって、積み下ろしがしやすいことや操作方法が分かりやすいことも重要です。

価格もサービスロボットを選定する上で重要な判断材料です。検討する際は、本体価格だけでなく、初期設定や設備連携にかかる費用、導入後に継続して発生するランニングコストも含めて比較します。

さらに、故障や不具合が発生した場合に備え、問い合わせ先や対応方法、点検の有無など、導入後の保守体制も確認しておきましょう。

安全性の根拠を確認する

上記の基本的な選定項目とあわせて、特に確認したいのがサービスロボットの安全性です。多くの施設で使用されていることや、これまで事故が起きていないことだけをもって、導入予定の環境でも安全に使用できると判断することはできません。サービスロボットが想定する使用方法や使用環境を把握した上で、安全性がどのような方法で確認されているかを把握することが重要です。

とはいえ、導入企業がロボットの安全設計を自ら詳細に評価することは容易ではありません。そのため、メーカ、販売代理店、SIerなど、ロボットを提案する事業者に対して、「このロボットの安全性は、どのような方法で確認されていますか」と説明を求めることが重要です。

主な確認項目としては、次のようなものがあります。

  • 関連規格への適合状況と適合性を判断した主体
  • 第三者認証の取得状況とその対象範囲
  • リスクアセスメントの実施状況
  • 障害物検出機能や非常停止機能など、安全機能の内容

関連規格への適合状況を確認する際に知っておきたいのが、サービスロボットの製品安全に関する規格です。代表的な規格には、ISO 13482:2014およびその一致規格であるJIS B 8445:2016があります。また、規格への適合状況については、「規格対応」という表示の有無だけで判断するのではなく、どの規格に対して、誰が確認したのかまで把握するとよいでしょう。

ステップ③
現場環境を整備する

ロボットを選定したら、次に現場環境を整備します。導入効果を高めるため、施設環境や設備を必要に応じて見直し、可能であれば導入環境で事前動作確認を行いましょう。

ロボットフレンドリーな環境を整える

ロボットが安定して稼働できるよう、施設環境や設備を整える「ロボットフレンドリー」という考え方があります。導入にあたっては、この考え方に基づき、主に次の点を確認しましょう。

  • 走行に必要な通路幅を確保できるか
  • 走行に影響する段差や傾斜がないか
  • 床材や照度、日照条件が製品の使用条件に合っているか
  • エレベーターや自動ドアとの連携が必要な場合、対応可能か
  • 複数台のロボットを運用する場合、動線が重なるエリアでの排他制御が可能か

確認の結果、ロボットの稼働を妨げる要因がある場合は必要な対応を検討します。なお、物理環境の整備をはじめ、ロボット同士や施設設備との連携については、業界団体であるロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)による標準化の取り組みも進められており、検討する際の指標となるRFA規格やマニュアル、ガイドラインが発行されています。

導入環境での事前動作確認を行う

ロボットベンダーの検証施設で実施した事前テストやシミュレーションでは正常に動作していても、実際の導入現場ではエレベーターや自動ドアと想定どおりに連携できないといった事例があります。検証環境と実際の導入環境には、設備の仕様や通信条件、周辺機器との組み合わせなど、細かな違いが存在します。そのため、環境を整備するだけでなく、導入予定のロボットが実際の走行環境で意図したとおりに動作するかどうかを、可能な限り導入前に現場で確認しておきましょう。

当機構では、RFA規格に基づいてロボットが運用環境で意図したとおりに動作することを確認するための試験プログラムをご提供しており、ロボットが施設設備と連携する能力を客観性と信頼性を備えた第三者視点で評価することができます。

ステップ④
導入後を見据えて運用体制を検討する

ロボットの選定と導入環境の整備を進めたら、導入後の運用体制を検討します。 運用体制を検討する際は、主に次の項目を整理しましょう。

検討項目※ 事前に決めておく内容
運用管理の担当者 ロボットの運用状況を管理する担当者と、その役割を決めます。あわせて、使用の中止や再開などの判断基準、判断が必要になった場合の責任者も明確にします。
日常点検の実施方法 点検する項目、実施するタイミング、担当者、記録方法を決めます。異常を発見した場合の報告先についても整理しておきます。
故障時の対応フロー 故障や不具合が発生した場合に、従業員が対応できる範囲とメーカや販売代理店などへ連絡する条件を決めます。問い合わせ先や連絡方法も、すぐに確認できるようにしておきます。
緊急時の連絡体制 人との接触や積載物の落下など、緊急の対応が必要な事態を想定し、社内の報告経路や外部への連絡先を整理します。誰が状況を確認し、対応を判断するかも明確にします。
ヒヤリハットの報告方法 人と接触しそうになった、通路で立ち往生したなど、事故には至らなかった事象について、記録する内容、報告先、共有方法を決めます。収集した情報を運用ルールの見直しに活用できる仕組みも検討します。

※一例となりますので、詳細は当機構セミナーや技術相談にてご確認ください。

安全なロボットサービスを提供するためには、製品の安全性だけでなく、適切な運用も欠かせません。使用方法や運用体制に問題があり、利用者や従業員などに損害が生じた場合には、事故の状況に応じて、ロボットを導入・運用する企業に民法上の責任が問われる可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、表に示した事項などをあらかじめ明確にしておくことが重要です。

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