JIS Y 1001は2026年改定でどう変わった? ポイントを分かりやすく解説

サービスロボットの活用が進むなかで、JIS Y 1001は2026年3月に改定され、国際規格との整合や考え方の整理が行われました。本記事では、JIS Y 1001:2026の位置付けと旧版からの主な変更点を分かりやすく解説します。

1.JIS Y 1001:2026とは

JIS Y 1001:2026は、サービスロボットを使って提供される「アプリケーションサービス」の安全マネジメントシステム規格です。この規格が意図する対象者は、サービスロボットを用いてサービスを企画・実装・提供するアプリケーションサービスプロバイダです。

本規格でいう「アプリケーションサービス」とは、配膳ロボットによる料理の運搬や案内ロボットによる来訪者対応など、サービスロボットやロボットシステムが人とかかわりながら提供する一連のサービス行為を指します。また、「アプリケーションサービスプロバイダ」は、ロボット単体の安全ではなく、サービス提供全体を管理する立場から、安全を含めたマネジメントを担う主体として位置付けられています。

規格の構成は、一般的なマネジメントシステム規格と同様に、計画、運用、評価、改善というサイクルを意識したものとなっており、運用を通じて安全に関する取り組みを見直し、維持・向上させていく枠組みが示されています。

2.規格改定による変更点

2019年版(以下、旧版)から2026年版(以下、改定版)への改定により、JIS Y 1001は国際規格ISO 31101:2023と一致した内容(IDT)となりました。これにより、サービスロボット運用時の安全性について、国内外で共通する考え方に基づいた検討や説明が行えるようになりました。

特に、サービスロボットの導入が実証段階から事業段階へ移行する場面では、関係者の役割分担やどのように安全を管理するかをあらかじめ整理しておくことが重要になります。本規格は、その際の共通の基準として活用できるものです。

ISO 31101について詳しく知りたい方はこちら

(1)用語と概念の変更

旧版では「ロボットサービス」という用語が使用されていましたが、改定版では「アプリケーションサービス」に変更されています。これは、ロボットそのものではなく、ロボットを用いて提供されるサービス全体を一つの単位として捉える考え方です。この考え方には、ロボットの供給者や運用を担う組織など、サービスの運用にかかわる関係者との情報のやり取りや、運用のなかで得られた安全に関する情報を共有することも含まれています。

また、旧版では、「リスク」は危害の発生確率と危害のひどさを組み合わせたものとして定義されていました。一方、改定版では、不確かさの影響を指す「リスク」と人への危害に直結する「安全リスク」(危害の発生確率とひどさの組み合わせ)を区別し、それぞれを明確に位置付けています。

(2)マネジメントシステムとしての整理

改定版では、「組織の状況」「リーダーシップ」「計画策定」「支援」「運用」「パフォーマンス評価」「改善」という流れで要求事項が整理されています。 旧版でも、PDCAの考え方に基づき「組織の状況」から「改善」までの枠組み自体は採用されていました。しかし、改定による国際規格との一致に伴い「計画策定」が「リスク及び機会への取組」や「変更の計画策定」などに整理され、ASSMSの範囲の決定なども含めて位置付けがより明確になっています。

これにより、既存の業務や他のマネジメントシステムと整合を取りながら、安全に関する取り組みを進めることが可能になります。 また、どこまでを適用範囲とするか、どの要求事項が適用されるかといった考え方についても整理されています。

※Application Service Safety Management System/アプリケーションサービス安全マネジメントシステム:
サービス提供側(アプリケーションサービスプロバイダ)が、運用時の安全を組織的に継続運用・改善するための仕組み。

(3)安全リスクアセスメントと安全リスク低減の明確化

旧版でも、リスクアセスメントやリスク低減、受益者・第三者への配慮、緊急事態への準備、危険事象の取扱いといった事項は規定されていましたが、改定版では「安全リスクアセスメント」と「安全リスク低減」が、「リスク及び機会への取組」や「変更の計画策定」と並ぶ計画策定上の要求事項として整理されています。

なお、「望ましい」とされている事項には、例えば、安全リスクアセスメントや低減方策の妥当性について第三者専門家の意見聴取を行うことなどが含まれます。一方で、サービスロボットが稼働する空間に居合わせる周囲の第三者への配慮や情報提供は運用上重要な要求事項(~しなければならない)として規定されている事項もあるため、要求事項と推奨事項を区別して理解し、運用することが大切です。

(4)附属書の位置付け

改定版では、利害関係者の例や運用内容とロボットの使用条件との関係、使用上の情報、運用中の危険源の例などが附属書として示されています。これらは要求事項ではありませんが、規格の内容を理解したり、自社の運用を検討したりする際の参考情報として活用できます。

利害関係者の例など、詳細は以下お役立ち資料をご覧ください
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当機構では、サービスロボット運用時の安全確保に向けたリスクアセスメントやマネジメントシステムの構築支援をご提供しているほか、規格解説セミナーや規格要求事項に基づいたテクニカルミーティングを行っています。

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