
本記事では、サービスロボットの定義や分類を整理した上で、製品安全規格であるISO 13482の概要、対応時に押さえるべきポイント、さらにJIS規格との関係について分かりやすく解説します。
サービスロボットとは、一般に「人の役に立つロボット」の総称です。人が行っている作業を代行・補助することで、体力的な負担や手間の軽減をはじめ、危険の回避や作業効率の向上などが期待されており、近年その市場は拡大を続けています。
こうしたサービスロボットに対する安全要求事項を定めた国際規格がISO 13482です。同規格では、サービスロボットを次のように定義しています。
「産業オートメーションの用途を除き、人または機器のために有用なタスクを実行するロボット」
この定義が示すように、サービスロボットは、主に工場などの隔離された環境で使用される産業用ロボットとは異なり、人と同じ空間で共存し、相互にかかわり合いながら使用されることが前提となっています。
この「人と同じ空間で動作する」という特徴こそが、サービスロボットにおける安全設計を考える上で重要なポイントです。産業用ロボットとは異なる視点でのリスク低減や安全対策が求められる理由もここにあります。
サービスロボットの特徴的なタイプとしては、以下の3タイプが挙げられます。
| 移動作業型 Mobile servant robot |
人間装着型 Physical assistant robot |
搭乗型 Person carrier robot |
|---|---|---|
| 移動能力があり、物の取り扱いや情報交換など、人との相互作用で支援タスクを実施するサービスロボット | 人の動作の補助や増強を行い必要なタスクを実行するために、使用者を物理的に支援するサービスロボット | 目的地まで人を輸送する目的で使用されるサービスロボット |
| [主な種類] 作業支援/災害案内/掃除・警備案内/荷物搬送 など |
[主な種類] ロボットスーツ/動作支援 など |
[主な種類] 移動支援 など |
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ISO 13482は、2014年2月に発行された国際規格であり、2009年から2014年にかけて経済産業省および独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した「生活支援ロボット実用化プロジェクト」における安全性検証手法の研究開発をはじめとする成果が反映されています。当機構もプロジェクトの初期段階から参画しており、その知見を活かして、2014年2月、世界で初めてとなるISO 13482の認証を実施しています。
ISO 13482は、ISO/IECガイド51(安全規格作成のための指針)に基づくタイプC規格に分類されます。タイプC規格とは、特定の製品や機械を対象に、危険源・安全要求事項・保護方策を具体的に定めた規格です。
ISO 13482の特徴の一つは、さまざまな規格を引用している点にあります。特にロボットの安全機能を制御システムで実現する場合、必要に応じて機械分野の機能安全規格であるISO 13849-1、IEC 62061に適合することが求められています。これらの規格は、いずれも機械安全の規格であるISO 12100や機能安全規格であるIEC 61508の流れを汲むもので、リスクアセスメントを起点として、ロボットの潜在的な危険源への対応を求めています。
ISO 13482における主要規格の階層化構造
なお、本記事執筆時点(2026年7月)において、ISO 13482は改定作業が進められており、現在はDIS(Draft International Standard)の段階にあります。詳しい内容については、今後の記事にてご紹介予定です。
ISO 13482への対応にあたっては、想定されるリスクの大きさに応じて、段階的なリスク低減プロセスを適用することが基本となります。特に、保護方策として制御を使用する場合には、関連する機能安全規格への適合が必要です。
また、製品の妥当性確認、すなわち「安全確保のために意図した通りに機能しているか」を確認するために、各種試験・検査・デモンストレーションなどを実施することが求められます。あわせて、残留リスクや禁止される使用方法など、使用上の重要な情報をマニュアル等に明記する必要があります。
ISO 13482の要求事項(概要)
一方で、ISO 13482は比較的新しい製品分野を対象とした安全規格であることから、リスクアセスメントの実施にあたっては次のような課題があります。
当機構では、ISO 13482への対応を検討する企業向けに、
といった形での技術的な支援も行っています。規格対応を進める際の参考情報として、ぜひご活用ください。
ISO 13482は、JIS化され、JIS B 8445として発行されています。さらに、JISでは、前述の3タイプのサービスロボットの個別規格としてJIS B 8446シリーズが整備されています。2026年1月には、JIS B 8445がJISマーク制度に追加され、今後公共調達に活用されることが経済産業省により発表されています。
認証取得や規格への準拠は、製品開発の品質向上や市場での競争力強化、さらには事故発生時の説明責任を支える基盤ともなります。今後、サービスロボットの社会実装が進むにつれて、その重要性はますます高まっていくでしょう。
ISO 13482への適合は法律で義務付けられていますか?
日本国内では、ISO 13482への適合そのものは法律で義務付けられていません。しかし、製造物責任法(PL法)においては、安全性を客観的に示す手段の一つとして活用することができ、製品の信頼性向上や市場参入時の説明責任を果たす上で有効です。また欧州では、ISO 13482が機械指令の整合規格になっています。
ISO 13482に対応するために最初に行うべきことは何ですか?
まずはロボットの用途や使用環境を明確にし、リスクアセスメントを実施することが重要です。想定される危険源を洗い出し、リスクの大きさを評価した上で、適切なリスク低減方策を検討します。リスクアセスメントについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。