現在、私が担当しているのは温度・湿度・露点計の校正業務です。街で見る温度計や湿度計の値は、細かくても小数点第1位までだと思います。しかし、精密機器メーカーで使われる計測機器になると、相対湿度が0.01%まで正確に測ることが必要になります。温度はさらに厳しくて、0.001℃まで必要となることも。そのため、国内最高精度の温度・湿度計を用い、桁数も0.01%、0.001%までを校正することもあります。これらの業務のなかで今、最もやりがいを感じているのは、室温より高い温度の環境で行う露点校正です。校正を行う上で最も重要なのは、求められる環境を正確につくることですが、その環境が高温の場合、検査室の室温が影響を与えてしまうのです。
特に湿度を校正する上で最も注意が必要なのは結露です。結露があると湿度の値が正しく測定できないため、環境をつくる機器と計測を行う場所をつなぐ30cmほどの管を保温材で巻くなどし、厳密な温度管理をしているのです。この露点校正は難易度が非常に高く、技術者として力量を求められるもの。難しいテーマを任されることは、自分の誇りにもなっています。