では実際に、どのようなことを調べているのか。例えば、原料の砂や砂利などの骨材については、そのなかに含まれるシリカの量を分析します。シリカが多いと、水と混ざったときに周りのアルカリ性の物質と反応を起こして、アルカリシリカゲルができます。すると水をたくさん吸収してしまい、完成したコンクリートが膨張。その結果、ヒビが入りやすく、劣化しやすくなるのです。また、混ぜる水に塩分が多すぎるとコンクリート自体の強度が足りなくなるだけでなく、中身の鉄筋を錆びさせてしまって劣化が早くなります。そのため、JIS規格にもシリカや塩分の量が定められており、基準内に入っているかを、さまざまな薬品を使って分析しているのです。そして完成後の建物から、くり抜いたコンクリートコアは、実際に風雨などにさらされたなかで、成分にどんな変化が起きているのかを分析し、強度をチェック。このコアには使われていた場所が書いてあるので、誰もが知る建物や橋梁、高速道路であることも多く、いつも自分の仕事が社会へ与えている影響の大きさを実感しながら試験をしています。