情報誌 ISO NETWORK Vol.22

[特集]これからのISO 9001を考える インタビュー ISO 9001次期改定

JQAとISO 9001マネジメントシステム認証の変遷

(年は年度、太字はJQAの認証に関する記述)

1989年(平成元年) 多くの企業からの品質システム認証制度に関する問い合わせ増加を受け、「企業認証登録制度の開始」を発表。
米国UL、英国BSIとISO 9000シリーズに関する相互認証の覚書き。
主任審査員を養成するため英国品質保証協会(IQA)へ職員を派遣。
1990年(平成2年)
最初の認証は6月1日。この年の認証は3件。
合同授与式の様子(1990年頃)合同授与式の様子(1990年頃)
1992年(平成4年) f欧州市場でISO 9000シリーズの認証取得が取引条件のひとつとなり、日本国内でも急速に関心が高まる。
1993年(平成5年) オランダの認定機関RvC(後のRvA)の認定を受ける。

日本品質システム審査登録認定協会(JAB)、後の日本適合性認定協会設立。
※JQAは5年間の審査登録業務の経験をもとに助言と協力を行った。

ISO 9000シリーズに基づく審査結果が各国の品質保証機関に受け入れられるように協定を締結、国際的なネットワーク形成のため、スウェーデン、デンマーク、オーストリア、スイス、スペイン、ポルトガル、ノルウェーの機関と協定締結。
国内で品質システム審査登録制度の普及のため、多くのセミナー、講演会に講師派遣。

情報誌「ISO 9000/ISO 14001ニュース」創刊。

ISOニュース創刊号、ISOニュースNo.3
1994年(平成6年) 品質システム審査登録の動きは輸出型製造業から全産業に拡大。規模は中小・中堅へ、業種は非製造業へ拡大。
相互承認ネットワーク構築のため、韓国、中国、インドの機関と新たに協定を締結。

ISO 9000シリーズが改定され1994年版となる。1987年版からの小改定であった。

説明会の様子(1994年版説明会)説明会の様子(1994年版説明会)
審査員131名で、年間1,000件を審査する体制を構築。
1995年(平成7年)

欧州の各国を代表する審査機関からなるネットワークEQNetに欧州域外の初の機関として参加。
(EQNetは欧州外のメンバーをむかえ、IQNet(International Certification Network)と名称を変更する。)日本の企業は日本において、主要相手国の認証を取得することができるようになる。

IQNetロゴIQNetロゴ
(JQA環境マネジメントシステムISO 14001審査登録開始)
1996年(平成8年) 公共事業の入札や、取引条件として品質システム審査登録が広く用いられ、認証取得が中小企業にも広がる。
1997年(平成9年) ISO 9000システム認証取得が取引のツールとして認知され、建設分野、サービス分野の広い産業分野に浸透した。

現在の登録マーク使用開始。

ISO 9001登録マークISO 9001登録マーク
2000年(平成12年) ISO 9000シリーズ(ISO 9001、ISO 9002、ISO 9003)が改定され、2000年版としてISO 9001に統合された。従来の「品質システム」が「品質マネジメントシステム」に変更され、消費者や社会といった広範な利害関係者を意識した経営を求められるようになり、ISO 9001は社会のソフトインフラのひとつとして活用されるようになる。
2002年(平成14年) 適合性評価専門委員会が国内の認証制度の問題点を調査。認証取得は形式的なパスポートという考えが出てきて、安易な認証が第三者認証制度の質の低下を招き、結果的に認証制度が「負のスパイラル」に陥るという見方に言及。
JQAでは登録組織の8割が登録対象人数100名以下の組織となり、登録組織の小規模化が進んだ。
2003年(平成15年)

JQAマネジメントシステム情報誌「ISO NETWORK」創刊。
ISOの登録情報だけではなく、周辺情報の積極的な発信を目指す。

ISO NETWORK創刊号、ISO 9001登録証
登録証のデザイン変更。今日に至る。
2005年(平成17年)

JQAのISO 9001認証数が10,000件を超える。

JQA認証件数の推移ISO 9001
2006年(平成18年) 審査登録機関運営の国際規格が、ISO/IEC Guide 62およびGuide 66から、ISO/IEC 17021(マネジメントシステムの審査及び認証を提供する機関に対する要求事項)として制定、発行された。
社会から真に必要とされる第三者認証を意識し、「JQA審査の基本姿勢」を発表。
2008年(平成20年) ISO 9001:2008発行。ISO 9001:2000の追補改定という小幅な改定にとどまった。
2009年(平成21年) ISO/TC 176(品質管理及び品質保証)/SC 2(品質システム)東京会議にてISO 9001の次期改定に対するコンセプトとアイデアの検討を行うタスクグループの第一回会議開催される。次期ISO 9001は2015年になる見込みであることが示された。
2010年(平成22年) 将来のISO 9001をどのように位置づけるのが最善かという問題に関するインプットを求めるため、10ヵ国語によるオンライン調査、ユーザー・サーベイがISO本部にて行われる。(2010年9月~2011年2月末)
最初の認証からここまでの総認証数は14,328件。(2011年3月17日現在)

JQA審査の基本姿勢

  1. 組織の自主性を基本とし、自立性を高める審査

    ―お客さまが、めざす姿に向かっているかを審査します。

    組織の方針や目的達成に向けた自主的な取り組みが基本です。マネジメントシステムの自律性を高める審査を行いシステムの継続的改善を促します。

  2. 組織の特性と個性を考慮する審査

    ―まず聞いて、お客さまの組織を知るところから始めます。

    お客さまがISO規格に何を求めているかを尊重し、業界特性、組織文化、事業規模、システムの成熟度など、組織の特性と個性に応じた審査を行います。

  3. トップから現場までの一貫性を重視する審査

    ―現場でも有効なシステムかどうかの審査を行います。

    現場審査を重視し、トップの方針が管理部門や現場まで一貫性を持って浸透しているかを検証し、組織の方々全員のモチベーションを意識した審査 を行います。

  4. コミュニケーションを重視した対話型審査

    ―「なぜ?」「どうして?」を残さない審査をします。

    現場審査はもとより審査の準備段階から結果報告まで、組織の多くの方々に接して十分納得いただける対話型審査を行います。こうした対話が“気づき”につながります。

  5. ステークホルダーの視点に立った審査

    ―お客さまの今と将来に役立つ審査を行います。

    第三者認証制度は組織の社会的信頼性や持続性の確かさを映す社会財です。JQAはステークホルダーの視点に立ち、「誰のため」、「何のため」に役立つシステムであるべきかを考えた審査を行います。