ISO 39001(道路交通安全)

交通事故に対する姿勢を示すことで、顧客からの信頼を高めます

交通事故による死者数は全世界で毎年130万人以上、負傷者数は5,000万人以上と言われております。この状況のもと、国連が「道路交通安全10カ年行動計画(2011~2020)」を策定するなど、道路交通安全に関する取り組みが国際的に注目されています。

組織にとって交通事故の発生は、経済的な損失だけでなく、信用喪失や事業存続の危機にもつながる重大事項です。ISO 39001は、交通事故の死者や重大な負傷者を減らすことを目的に、道路交通安全のためにさまざまな組織が取り組むべきマネジメントシステムの要求事項を定めています。

ISO 39001

業種・規模を問わず、道路交通に関連する幅広い組織で導入することができます。

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  • ①  乗客・貨物運送にかかわる組織(バス、タクシー、トラック輸送、レンタカーなど)
  • ②  物流・営業・通勤で自動車を使用する組織(工場、倉庫、流通サービス、金融サービス業など)
  • ③  自動車・自動車部品の設計・製造・保守・検査にかかわる組織(自動車メーカー、部品メーカー、整備工場など)
  • ④  輸送ニーズが発生する施設の運営にかかわる組織(駐車場設計・管理会社など)
  • ⑤  救急救命医療の準備にかかわる組織(救急医療機関、病院など)
  • ⑥  道路の設計・施工・運用・保守にかかわる組織(道路運営・管理会社)
  • ⑦  道路交通関連法規の制定・規制にかかわる組織(国、自治体)

組織にさまざまな効果をもたらすISO 39001

ISO 39001を導入することで、道路交通安全にかかわる具体的な目標やアクションプランを作成し、マネジメントシステムとしてPDCAサイクルを回しながら、交通事故にともなう損失を継続的に低減していくことが可能です。

交通事故の減少にともない、コスト削減が期待できます。

交通事故の発生は、その後の対応に多くの時間とコストを費やします。そのため、交通事故の減少は組織のコスト削減に直結しています。また、交通事故の減少は損害保険料の削減にもつながります。

第三者認証で信頼を獲得、ブランド価値・イメージの向上が図られます。

ISO 39001の認証を取得することで、広く社会から道路交通安全に関する信頼を獲得し、組織のブランド価値・イメージの向上が期待できます。また、交通安全を推奨する取引先とのビジネスチャンスも拡大することができます。さらに、社会貢献やCSR(企業の社会的責任)活動の推進にも効果が得られます。

ビジネス機会損失の低減が図られます。

交通事故の発生は、お客さまや取引先をはじめステークホルダーからの信用を失い、その結果としてビジネスの機会損失につながり、さらに重大な交通事故の場合は、事業存続の危機に直面することも考えられます。ISO 39001の導入により、このような損失の低減が期待できます。

従業員満足の向上が図られます。

交通事故は組織で働く従業員にとっても大きな心配事の一つです。組織が積極的に交通安全に取り組む姿勢は、従業員の満足度やモチベーション向上につながります。また、従業員の採用の際にも、交通安全への取り組みはプラスの評価を得られることが多く、優れた人材の確保にも効果的です。

ISO 39001のPDCAサイクル

ISO 39001のPDCAサイクル

RTSパフォーマンスファクターの4要素の関係

ISO 39001では、道路交通安全に関する既知の問題点や解決策に適応した「RTSパフォーマンスファクター(道路交通安全に大きく寄与する要因)」の特定が求められています。RTSパフォーマンスファクターは、リスク暴露ファクター、最終安全成果ファクター、中間安全成果ファクター、追加ファクターからなり、これらを把握し分析することで、組織の実態にあった道路交通安全の対策を決定できます。

RTSパフォーマンスファクターの4要素の関係
  • *1  リスク暴露ファクター
    交通事故発生のリスクが顕在化する要因を特定し、これに関するデータを収集すること。収集するデータとしては、組織の特定区域内の交通量、組織の要員の移動量、組織が製造または提供する製品・サービスの量などがあげられます。
  • *2  最終安全成果ファクター
    交通事故の発生状況を把握するため、関連するデータを収集すること。収集するデータとしては、死亡者数、重傷者数など物理的なものの他に、生産性の損失など経済的コストを含めることもできます。
  • *3  中間安全成果ファクター
    交通事故減少のための具体的な対応策を示したものであり、RTSのパフォーマンスを改善するのに有効である安全対策のカタログ。リスク暴露ファクターと最終安全成果ファクターから把握した組織の現状を鑑みて、中間安全成果ファクターより対応策を選定できます。
  • *4  追加ファクター
    組織の実態に照らして不足がある場合、3つのファクターに対して新たなファクターを追加すること。