一般財団法人 日本消防設備安全センター様

有事の際に生命・身体・財産を保護する、消防防災製品を認証

一般財団法人 日本消防設備安全センターは、「消防防災製品の認証業務」のなかでも消火設備、警報設備および防火水槽の認証については、公益財団法人 日本適合性認定協会(JAB)よりISO/IEC 17065※1の認定を受けており、消防分野では日本を代表する製品認証機関である。

消防設備メーカー等から認証の申請を受け、工場等に赴いて申請品の適合性確認を行うのが同センターの検査員である。検査員は、その資格要件の一つとして品質マネジメントシステム審査員補の資格を全員取得しているが、検査技量のさらなる向上を図るため、10年以上前から、毎年JQAのセミナーを継続的に受講している。セミナープログラムは、認証業務の抱えている課題をもとにJQAと話し合いながら作成されたオリジナルである。

製品認証部 製品認証課 課長 河野 雅昭氏 製品認証部 製品認証課 課長
河野 雅昭氏

「近年は“ISO/IEC 17025※2に対する理解を深めながら、検査員の力量を高める”という一貫したテーマで依頼し、そのなかで受講者のレベルや時流などに合わせて、毎回工夫を凝らしたプログラムを考えていただいています」(河野氏)
例えば、前回はセミナー内で模擬審査を実施し、今回はJQA計量計測センターにある校正室での講義を織り込んでいる。

  • ※1 ISO/IEC 17065:製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項
  • ※2 ISO/IEC 17025:試験及び校正を行う試験所の能力に関する一般要求事項

2021年度セミナーは、校正室での講義を含む1日半のプログラム

今回のセミナーは、2021年10月14日・15日の1日半にわたって実施。東京・大阪の両拠点から全検査員21名が受講した。校正室での講義では、主だった10分野の校正室において、それぞれの技術スタッフによる説明と質疑応答を行った。会議室での講義は、計量計測センター副参事の佐藤 恵子が講師を務め、本セミナー用に作成したオリジナルテキストに沿って実施した。

  • 校正室での講義の様子
    校正室での講義の様子

  • 会議室での講義の様子
    会議室での講義の様子

<セミナープログラム>

【1日目】 10月14日 13:00~16:00 於:計量計測センター(東京・南大沢)
  • 計量計測センター業務概要
  • 校正室での講義
  • 校正証明書とトレーサビリティ体系図の見かた 等
【2日目】 10月15日 9:30~15:30 於:日本消防設備安全センター(東京・西新橋)
  • ISO/IEC 17025に基づく管理活動の事例
  • 理解度テスト
  • 質疑応答 等

検査員の実務に沿った講義内容に、たくさんの満足の声

1日半におよぶセミナーを終え、感想を伺った。

「今回初めて参加しましたが、講義の流れや内容がしっかり系統立てられていて、思っていた以上に分かりやすいセミナーでした。検査員は現場経験を積むことも大事ですが、同時にこうしたベーシックな理論を身に付けることも大切です。その意味では大変意義のある研修であったと思います。また、作成していただいたテキストが素晴らしく、特に工場等に赴いた際の検査項目ごとの観点などの事例紹介は、明日から実務に使えるとともに、検査員の引き出しを増やすことにもつながると思います。JQAのセミナーを通じて、検査員はこれまで以上に自信を持って仕事ができるようになるのではないかと期待しています」(青木氏)

また、受講された検査員の方々にアンケートを行ったところ、次のような回答をいただいた。
「校正の現場で校正概要等の説明を受けることができ、大変参考になった」「業務に活かせる実践的な内容で良かった」「校正証明書の見かたや内部校正の審査のポイント等、すぐに審査に活かせる内容で参考になった」「具体的な事例をまじえて話していただき、理解しやすかった」。

常務理事 兼 製品認証部長 青木 浩氏 常務理事 兼 製品認証部長
青木 浩氏

最後に今後のJQAセミナーに期待することを伺った。
「ISO/IEC 17025を我々の認証業務に当てはめたり、申請者である消防設備メーカーに求めることはハードルが高いという想いがある一方で、実際にISO/IEC 17025の認定を取得している校正機関のJQAで直接知識を得ることはとても意義のあることだと思っています。特に今回はこれまで以上に実務に沿った内容を考えていただき、検査員の力量アップに寄与したのではないかと思います。検査員は消防機関のOBが多く、実働期間は5〜6年という人が大半です。そうした短い期間のなかで効率良く検査技量の向上を図る上で、JQAのセミナーは大変有効ですので、今後もセミナーのアンケート結果や現場の声などをフィードバックしながら、引き続き質の高いセミナーをお願いしたいと思っています」(河野氏)

【JQA担当講師より】
計量計測センター 副参事 佐藤 恵子
JCSS(電気II、時間・周波数)分科会委員、IEC/TC 85国内対応委員会、JIS作成委員会(基本分野、計測計量分野)委員

「今回、講師を務めさせていただきました。一日半という長丁場にも関わらず、皆さん最後まで集中力を持って熱心にお聞きいただいたのが印象的でした。今回のセミナーでは、校正機関がISO/IEC 17025の認定を維持するにあたり、どのようなエビデンスを用意しているのか、どのような書類を取り回しているのか、具体例を示しながら講義を展開しました。受講された検査員の方々から “実務に役立ちそうだ”という声が多かったと伺い、微力ながらお役に立てて光栄です」。

一般財団法人 日本消防設備安全センターの概要

本社 東京都港区
役職員 80名(2021年10月)
創立 1975年(昭和50年)8月
URL https://www.fesc.or.jp
事業内容 消防法の規定に基づき、消防防災にかかわる幅広い事業を展開。消火設備、警報設備および防火水槽の認証については、ISO/IEC 17065の認定を受ける日本を代表する製品認証機関。
日本特殊陶業株式会社