交通事故による死者数は全世界で毎年130万人以上、負傷者数は5,000万人以上と言われております。この状況のもと、国連が「道路交通安全10カ年行動計画(2011~2020)」を策定するなど、道路交通安全に関する取り組みが国際的に注目されています。
組織にとって交通事故の発生は、経済的な損失だけでなく、信用喪失や事業存続の危機にもつながる重大事項です。ISO 39001は、交通事故の死者や重大な負傷者を減らすことを目的に、道路交通安全のためにさまざまな組織が取り組むべきマネジメントシステムの要求事項を定めています。
ISO 39001を導入することで、道路交通安全にかかわる具体的な目標やアクションプランを作成し、マネジメントシステムとしてPDCAサイクルを回しながら、交通事故にともなう損失を継続的に低減していくことが可能です。
交通事故の発生は、その後の対応に多くの時間とコストを費やします。そのため、交通事故の減少は組織のコスト削減に直結しています。また、交通事故の減少は損害保険料の削減にもつながります。
ISO 39001の認証を取得することで、広く社会から道路交通安全に関する信頼を獲得し、組織のブランド価値・イメージの向上が期待できます。また、交通安全を推奨する取引先とのビジネスチャンスも拡大することができます。さらに、社会貢献やCSR(企業の社会的責任)活動の推進にも効果が得られます。
交通事故の発生は、お客さまや取引先をはじめステークホルダーからの信用を失い、その結果としてビジネスの機会損失につながり、さらに重大な交通事故の場合は、事業存続の危機に直面することも考えられます。ISO 39001の導入により、このような損失の低減が期待できます。
交通事故は組織で働く従業員にとっても大きな心配事の一つです。組織が積極的に交通安全に取り組む姿勢は、従業員の満足度やモチベーション向上につながります。また、従業員の採用の際にも、交通安全への取り組みはプラスの評価を得られることが多く、優れた人材の確保にも効果的です。
ISO 39001では、道路交通安全に関する既知の問題点や解決策に適応した「RTSパフォーマンスファクター(道路交通安全に大きく寄与する要因)」の特定が求められています。RTSパフォーマンスファクターは、リスク暴露ファクター、最終安全成果ファクター、中間安全成果ファクター、追加ファクターからなり、これらを把握し分析することで、組織の実態にあった道路交通安全の対策を決定できます。