日本精工株式会社の藤沢工場では、主に社会インフラに大きくかかわる鉄道・航空・風力発電関連の軸受や、ものづくりに欠かせない産業機械用の軸受など、比較的大型の製品を製造している。
同社の強みの一つが、企業理念にあるMOTION & CONTROL™のもと、より良いものづくりを実現するために、厳格な品質マネジメントシステムを構築していること。その一環として、品質管理の根幹を担う計測器の管理・校正を専門的に行う部署『計量センター』を各工場に設置。藤沢工場の計量センターは9名体制で運営している。
「藤沢工場では、数百種類・数千点に及ぶ計測器を使用しています。これらすべてを私ども計量センターのスタッフが責任を持って、定期的に校正し、かつ国家計量標準にトレーサブルであるように管理しています。国家計量標準につながった計測器で正しく測定しているということは、国家計量標準をもって製品の保証をしているということですから、その自負、責任をもって業務に取り組んでおります。」(藤原氏)。
藤沢工場で使用されている数千点の計測器のうち、約6割は計量センターのスタッフが内部校正を実施。そのほか、内部校正に用いる標準器や、各業界の法令や国際規格により高精度な校正が求められる計測器などは、JQAやメーカーなどの外部に校正を依頼している。
「私が担当する計測器は、主に航空機や鉄道の軸受の製造に使用するものであるため、安全面から非常に厳格な品質保証が求められており、その傾向は近年さらに強まっています。従来から一部の標準器などは、JCSS校正を実施していました。数年前に航空機関連のお客さまから、国際的に通用するISO/IEC 17025に基づいた認定校正を求められたことを機に、これまで認定校正を実施していなかった計測器にまで適用範囲を広げていくことを決めました。そこで、幅広い分野で認定校正が可能なJQAに本格的に依頼するようになりました。」(藤原氏)。
藤沢工場からは、ISO/IEC 17025の認定校正を行う計測器、AMS 2750(航空機部品のための熱処理設備管理規格)で要求されている計測器の一部、標準器の一部などをJQAに校正依頼している。
JQAに対する評価をお聞きした。
「一番の評価ポイントは、校正の信頼性が高いということです。計量標準を鍵に例えるなら産業技術総合研究所の持つ国家計量標準が元鍵になり、そこから合鍵(二次計量標準)を作るのがJQAなど上位にある校正機関、その合鍵から孫鍵(三次計量標準)を作ったのが一般校正事業者やメーカーの計量標準で、それらの鍵を標準器として使うのが私どものようなユーザーになります。
ご存じの通り、鍵というのは、元鍵から孫鍵と下位にいけばいくほど、精度は劣っていきます。
計量標準(鍵)による校正もこれと同じで、下位にいくほど、いわゆる不確かさが乗ってきてしまうので、校正において、より不確かさの小ささを求めるのであれば、上位機関に直接依頼するのが間違いありません。不確かさが小さいJQAの校正に対する信頼度はとても高いものがあります。また、コスト的にも満足な金額だと思いますし、見積もりを依頼すると、基本的に1週間以内に回答いただけるので、校正スケジュールが立てやすいという点も助かっています。」(藤原氏)。
最後にJQAに対する要望をお聞きした。
「弊社で使用する計測器のうち、JQAで校正できないものがあるので、取扱品目の拡大をお願いしたいです。当該機器は他の機関に校正を依頼していますが、JQAでも校正が可能になれば、納期などの比較もできますし、セカンドオピニオン的な活用も考えられます。選択肢が増えることは私どもにとってありがたいです。また、以前JQA計測セミナーを受講したことがあり、大変勉強になりました。私も含め計量センターのスタッフのスキルアップ・レベルアップは不可欠であり、JQA計測セミナーはその有効な手段の一つだと思います。しかし、場所や日時が決められているため、なかなか参加が難しいところがあります。今後、私ども向けにカスタマイズされた出張セミナーを提案していただけると、大変うれしく思います。」(藤原氏)。