当機構では、保育所や高齢者施設、障害者施設などの福祉事業者が提供するサービスの質を、公正・中立な第三者機関が専門的・客観的な立場から総合的に評価し、公表する制度である「東京都福祉サービス第三者評価」の評価サービスを提供しております。
障害者支援施設※を提供する「社会福祉法人 槇の里 いすみ学園」様(都外施設)に対し、東京都福祉サービス第三者評価に基づく評価を実施し、受審証を発行いたしました。受審された感想や今後の取り組みについて、理事長の岡部 一邦様、施設長の堂下 勉様に伺いました。
※障害者支援施設:
施設に入所する障害のある方に対して、入浴や排泄、食事などの介護、また、生活などに関する相談や助言、その他の必要な日常生活上の支援(施設入所支援、生活介護など)を行う施設。
いすみ学園は、1984年(昭和59年)に自閉症の障害を持つ子どもの保護者の方たちが中心となり設立されました。東京都内の各地を調査するも適地を確保することができず、縁あって『千葉県いすみ市』に施設を建設しましたが、施設の利用者全員が都民であったことから、東京都から施設整備費の助成を受け、都外独占施設として設置・運営。現在に至っています。施設創設の発起人であった理事長、施設長、事務長が、運営の礎を築き、長期にわたりその充実に努力してきましたが、世代交代を経た現在、「この子たちに生きがいのある生活の場を」との意志を受け継いで、「優しさと思いやり」をモットーに保護者の皆さんとの緊密な協力関係のもと、利用者の有意義な人生を支える生活の場として、自然環境に恵まれたいすみ市の地で日々実践を重ねています。
施設開設から38年が経過した現在、当時18歳で入園した利用者も60歳間近となり、高齢化対策が課題となってきています。対応策を検討する高齢化対策検討委員会では、学園が利用者の『終の住処』となるために、生活介助、日中活動、医療支援、生活環境整備等について課題と対策を取りまとめました。
これを受けて策定した『中期5カ年計画』に基づき、各課題の具現化に取り組んでいますが、居住環境の向上のため、現在の2人室を個室化するための新棟建設が大きな課題となっています。これらの課題を達成し、高齢化対策が整備された折には「施設から地域社会へ」との施策動向に応えるため、自閉症者の社会的自立を支援する施設としての役割を担っていきたいと考えています。運営している2つのグループホームと連携しながら、そのバックアップ施設として利用者がADL(日常生活動作)など、生活自立能力を修得するための訓練施設として今後も機能充実を目指します。
第三者評価の受審は東京都が制度化してすぐに始めました。以降十数年にわたり経験したなかで評価できる点は、以下のように多くあります。
今回、JQAの第三者評価を3年続けて受審しました。双方ともに“一定の慣れ”が生じることも危惧していましたが、利用者の個人情報も含めてよく知ってもらうことで、より深いところまで指摘・本質に迫る追及がなされたことは、学園として高く評価できると考えています。また、続けてJQAの第三者評価を受審したことで、いすみ学園の課題、さらなる改善点について、計画的、継続的に取り組むことにつながりました。
JQAの第三者評価の受審を通じて、職員の人材確保・人事考課・キャリアアップをはじめ、経営陣の意思を施設内職員等の末端まで浸透することなど、さらなる改善が望まれる点について明確に示していただきました。それらはすぐに効果の出ることではありませんが、法人・施設として課題認識を持ち、“さらなる改善”に向け計画的に取り組んでいく指針となりました。