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製品や機械は、設計者が意図していない使用方法により思わぬ事故を引き起こすことがあります。機械安全に関する国際規格 ISO 12100においては、こうした使用者による「合理的に予見可能な誤使用」を含めたリスク分析や適切な対策の実施が求められています。本記事では、「合理的に予見可能な誤使用」の考え方や事例に加え、そこに至る背景を掘り下げて解説します。
製品や機械を安全に設計する上で、国際規格ISO 12100(JIS B 9700)には次のような重要な考え方が定義されています。
「合理的に予見可能な誤使用(reasonably foreseeable misuse)」とは、設計者が意図していない使用方法であるが、容易に予測できる人間の挙動から生じる機械の使用(第3.24項)
これは、「本来の使い方とは違うが、実際には利用者がやってしまう可能性が高い使い方」と言い換えることができます。誤使用は単なる「利用者のミス」として片づけられがちですが、設計段階で予見し対策を講じておかなければ、思わぬ事故や製品クレームにつながるおそれがあります。
以下のような事例は、意図した使用の範囲であるか確認をせずに“ついやってしまった”経験があるかもしれません。
コンセントプラグ外すとき、プラグを持たず、コードを引っ張ってプラグを抜く
→ ケーブル内部の断線

電子機器の清掃目的で消毒用アルコールを使用する
→ 樹脂や塗装面の劣化・腐食

電気ポットに規定量以上の水を入れる
→ 沸騰時に熱湯が噴き出す

これらは、利用者に悪意があるわけではありません。むしろ「早く」「便利に」「手軽に」使いたいという、モチベーションから“ついやってしまう”人間として自然な行動です。
合理的に予見可能な誤使用を考えるときは、単に事例を集めるだけでなく、「なぜそのような使い方が起きるのか」という背景を理解することが重要です。以下の観点で整理すると、製品の誤使用によるリスクを見つけやすくなります。
設計者はまず、「製品においてどのような誤使用が起こり得るか」、また「誤使用により人に対する危害が発生する可能性があるのか」を検討することが重要です。
誤使用を探す方法として、類似製品を対象に市場で発生している事故事例やヒヤリハット情報を参照する方法があります。事例は独立行政法人製品評価技術基盤機構、消費者庁のデータベースおよび業界団体のWEBサイトで公開されています。こうした情報に目を通し、誤使用に起因する事故事例を知ることで、自社の製品においても同様の事象が発生することがあり得るのか検討することが可能となります。
公開情報を見てみると、「そんな使い方をする人がいるのか」「そのような行動は常識的にあり得ない」と感じる事例もあるかもしれません。しかし、ISO 12100でも記載されているとおり、「合理的に予見可能な範囲」を考慮し、リスクアセスメントを実施することでより安全な製品開発を実現していくことができるのです。
誤使用によるリスクについても、基本的な考え方は ISO 12100で定める3ステップメソッドに従って進めます。
このように、ISO 12100が示す「合理的に予見可能な誤使用」を踏まえ、設計段階でリスクを洗い出し、リスク低減方策を講じることで事故を未然に防ぐことが可能となります。より安全な製品づくりのため、予見可能な誤使用を考慮したリスクアセスメントをぜひ実施しましょう。
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