株式会社安川電機
モーションコントロール事業部 品質保証部 課長 山内 高氏
安川電機では、経営の目標を視野に入れながら業務品質を向上させるツールとしてISO 9001を定着させています。業務品質が向上すればベースとなる製品品質はおのずと向上するという考え方です。製品の品質管理が仕様を守ることに重点を置いていたのに対し、業務品質は安川らしい文化、風土、人材から生まれるもので、それが安川ブランドとして顧客に届きます。ISO 9001は、そのための経営ツールであると認識しています。
トップマネジメントも共通の認識を持っており、中期経営計画の目標達成のための戦略や方針を議論する経営検討会議とISOのマネジメントレビューを統合し、ISOをわれわれが目指すものを達成するためのツールにしています。
同様に内部監査も今後は経営の方向性を議論する場としていきたいと考えています。各部門責任者には内部監査の資格取得を義務付け、自社の経営課題を踏まえたうえで、部門ごとの方向性や戦略に沿った内部監査を目指しています。内部監査が自らの健康チェックとするなら、認証機関の審査は定期健康診断のようなもので、改善の機会などの指摘を通じて、マネジメントシステムをより有効なものにするための気づきの場になっています。
今後はISOをオール安川の業務品質向上の共通言語とすることで、例えば国内のマザー工場のルールを海外工場に移管する際も、安川としての基本を守りながら進出先の事情に沿って柔軟な現地化が可能になっていきます。
当社では経営目標に到達するためのフレームワークとして規格を利用しています。今後のISO 9001では、将来のビジネスモデルを描く上で礎となるような改定は歓迎しますが、個々のパフォーマンスレベルまで要求事項に盛り込んで規格の柔軟性が失われることのないようお願いしたいです。顧客の声を生かしビジネスモデルの革新を進めるためのトリガーとなる、経営により近づけたQMSとして発展して欲しいと思います。
SMC株式会社 | 品質保証部長 宮本 道和氏 |
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同 | 品質システムグループ課長 滝田 盛一氏 |
同 | 品質システムグループ係長 丸山 信治氏 |
当社では、ISOは海外生産拠点をはじめ、国内の技術センターや各国の技術センターなど異なる部門間でも、共通言語のようにひとつのルールの下で、ものづくりをすることができるという意味で大変有効な手段(道具)であるという認識であり、1998年の初回登録以来、12年間運用を続けています。
なお、当社は国内外の主要取引先から、客観性のある数値化された厳しい第二者監査を受けています。これらには、新規取引や継続取引といった直接のビジネスに懸かってくる問題なので、ISO 9001監査と比較すると、緊張感と達成感といった点において、格段のひらきを実感しています。
また、ISOシステムは、スパイラルアップと口では言うものの、いわばドライバーズライセンス化してしまい、そのステータスは無いに等しいと感じています。そのためISOシステムを常時組織内に浸透させ、本来の目的である顧客の立場での品質活動をするために、組織要員のモチベーションを維持することが難しくなっています。
今後の期待としてISOシステムに、業績向上や顧客満足を数値化しシステムを客観的に評価できる共通の指針があれば、社内の国内外でも、スパイラルアップさせるための目標値として進めやすいし、企業として戦略的武器にもなると思います。
これからのISO 9001の活動とその審査においては、審査の前に目的を明確にし、各企業の弱点克服のために審査自身を活用できるよう、認証機関とのコミュニケーションを強化し、受審組織が嫌がるような審査を心がけていただくよう、双方で進められれば良いと思います。
(文末のカッコ内は業種、初回登録年)
※PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、米国の非営利団体が策定したプロジェクトマネジメントに関する知識体系。
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