日清医療食品株式会社は、「おいしく食べて健康に!」をモットーに、病院や社会福祉施設、学校、保育施設など、医療・福祉・保育に特化した給食業務を受託している。同社の事業所は全国で約4,600件にのぼるが、そこで徹底して推進してきたのが「食の安全・安心」を強化するための取り組みだ。
「私たちの食事を召し上がっていただく方々は、何らかの治療や介護が必要な方や幼いお子さんが中心です。それだけに食の事故につながるリスクは、他の食品サービスに比べて一段と高い。より安心して食事を摂っていただけるように、食品衛生に重点を置き殺菌や異物混入に気を配っています。」と乳井部長は語る。
同社はこれまでも本社、支店あわせて16の社内拠点と全国81の受託先事業所で、ISO 9001-HACCP※の認証を取得し、徹底した衛生管理と同時にホスピタリティ、おいしさなど顧客満足の向上に取り組んできた。同社の5つのセントラルキッチンの中で最新鋭の設備を有する米子CKでは、こうした活動のさらなるステップアップを目指してISO 22000の認証取得に至ったという。
「食の安全を確保するためには、社内での衛生管理だけでなく、仕入れから生産、消費まで、フードチェーン全体できちんと管理することが必要です。このため、食に関わるすべての人たちがすべての段階で食品安全に取り組むための規格として、米子CKでは、2007年の設立当時からISO 22000の取得を視野に入れた活動を進めてきました」(乳井部長)。
キックオフから認証取得までの期間は、約1年半だった。もとより、各拠点でISOを導入していたため、社員の意識も高く、認証までは比較的順調に進んだ。ISO 9001-HACCPのもとでは社内での衛生管理が中心で、アウトソーシングや配送の部分ではあいまいさが残っていたが、ISO 22000ではすべての取り組みが明確になった。また、ルールの一つひとつに「なぜやらなければならないか」という理由が明らかになり、社員の取り組み意識も高まってきた。
「当社の属するワタキューグループでは、グループ社員全員に、基本方針の徹底、報告・連絡・相談、早期発見・早期治療、率先垂範という4つの約束を徹底しています。このことは、ISOの取り組みにもつながるもので、携わる人が全員参加型で前向きに取り組み続けなければ、効果をあげることができないのではないかと思います」。
同社では、ISO 22000の認証取得で、食品安全のレベルが一段と強化され、同社への信頼性がさらに高まることを期待している。また、米子CKでの活動は、他の施設の社員にもよい刺激となり、全社的な安全意識向上にもつながっている。
「各段階できめ細かく改善に取り組む活動が積み重なることが、当社の商品のオリジナリティや価値向上、競争力向上に結びつくのではないかと思います」。
今後、米子CKで認証取得に携わったスタッフを橋渡しとして、他の施設にも取り組みを展開し、時期を見てさらなる認証取得を進めていく方針だ。
※ISO 9001-HACCP
ISO 9001にCodexガイドラインのHACCPを組み合わせたJQA独自の認証サービス。食品の安全性のみならず、嗜好性や適法性など品質に対するトータルなシステム構築・運用が可能。