「中国製冷凍ギョーザ事件を背景に、食品安全の確保に向けた新しい取り組みを進めている中で、2010年10月、食品関連企業の国際的ネットワークであるGFSIの承認規格を認証取得するよう、お客さまから要請を受けました。検討の結果、FSSC 22000の認証取得が当社に適しているとの結論に達しました」
認証取得のいきさつを、伊藤 大典所長はこう振り返る。
西製造所ではこの当時、2002年3月に承認を受けた業界HACCPに、認証取得済みのISO 9001と同14001、OHSAS 18001を基に2008年11月に適合証明を受けたIMS(統合マネジメントシステム)を加えて、食品安全マネジメントシステムを運用していた。それらの取り組みをFSSC 22000なら生かすことができる、と判断したという。
準備段階では、食品安全に対する意識レベルの向上を心掛けた。前提条件プログラムで定められた200を超える要求事項に対して一つひとつハザード分析を実施し、物理的・生物的・化学的な側面から危害の及ぶ恐れのある範囲を明らかにした。伊藤所長はそのねらいを、「要求事項が安全や安心にどう結び付くのか、担当者に考えさせることが、意識レベルの向上につながると考えました」と語る。
それら一つひとつの要求事項には、本質的になにをすればいいのか、という発想で対応を検討した。アクセス管理を例に取ると、人員の配置や設備の変更で対応するには限界があったことから、「本質的になにをすればいいのか、という発想に立って、従来の施錠管理とパトロールをうまく組み合わせることで対応可能と判断しました」(伊藤所長)。
発想の転換を図ったことも幸いして、膨大な数の要求事項に対し仕組みを新しく整える必要に迫られたのは、ごくわずかで済んだという。伊藤所長は「マネジメントシステムの基本は国際的な指針であるCodex HACCPという点で共通です。それだけに、従来の仕組みを適切に見直していれば、差はそう出ないはずです」と指摘する。
FSSC 22000の認証を取得した効果を、伊藤所長はこうみている。
「認証取得を通じて企業努力を形として示すことができます。お客さまにはそれが安心につながるでしょう。信頼を得るための一つの要素と位置付けられます。また、製造所全体で食品安全に対する意識レベルの向上を図れたと思います。管理の仕方が変われば、動き方が変わります。それが、意識レベルの向上をもたらします」
西製造所で食品安全の確保に向けて構築した管理の仕組みを、ADEKAでは今後、鹿島工場や兵庫県の明石工場にも展開する予定だ。伊藤所長は「同じ食品部門で異なる管理を行っているのは、お客さまからご覧になって不自然です。ADEKAとしてそろえていきます」と、今後の方針を語る。
所在地 | 茨城県神栖市 |
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設 立 | 1990年操業開始 |
ISO 9001初回登録 | 1996年4月5日 |
ISO 14001初回登録 | 1998年3月13日 |
OHSAS 18001初回登録 | 2002年11月29日 |
FSSC 22000初回登録 | 2011年12月16日 |
登録活動範囲 | 濃縮乳クリームおよびカスタードクリームの製造 |