情報誌 ISO NETWORK Vol.24

規格情報 このページの情報は2012年6月15日現在のものです。

事業継続マネジメントシステム ISO 22301

ISO 22301(Societal Security ― Business Continuity Management Systems)が発行されました。

マネジメントシステム規格間の整合を図るハイレベルストラクチャー(HLS)※1採用で、他のマネジメントシステムとの一体管理も容易に。

地震や火災、IT関連のシステム障害や金融危機、取引先の倒産あるいは新型インフルエンザなどのパンデミック(感染爆発)・・・、そのような災害や事故、事件などが現実のものとなった場合の対策立案や対応を効率的かつ効果的に行うための事業継続マネジメントシステム(BCMS)の国際規格ISO 22301が、本年5月15日に発行されました。

この規格にはマネジメントシステム規格間の整合を図るための根幹となるHLSが初めて採用されています。そのためHLS採用を前提に改定作業が行われているISO 14001などとの高い整合性が期待でき、ISOユーザー組織はこれらのマネジメントシステムを一体として管理しやすいものとなっています。

また、ISO 22301にはBCMSのデファクトスタンダードとなっていたBS 25999の要求事項が網羅されているので、すでにBS 25999を導入している組織がISO 22301に移行しやすくなっています。

ISO 22301の認定については、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)がこの夏にも認定を開始する見込みです。JQAのISO 22301審査登録サービスの詳細とお客さま向けセミナー等のご案内は、随時JQA Webサイトでお知らせします。

  • ※1 ハイレベルストラクチャー(HLS)
    ISOマネジメントシステム規格の整合化のための上位構造。マネジメントシステムに適用できる共通の構造、テキスト、用語・定義を定めている。本年発行されたISO/IECの専門業務用指針(Directives)の補足指針(Supplement)改訂版の付属書に盛り込まれた。このことは今後の全てのマネジメントシステムに原則適用されることを意味している。なお改定版の補足指針の原文(英語)はISOサイトで参照することができる。

環境マネジメントシステム ISO 14001

次期ISO 14001は現在WD1~WD2※2の段階。

2015年の発行に向けた改定作業が進行中。

2012年2月にベルリンで改定ワーキンググループの第一回会議が開催され、WD1※2が作成されています。6月にはISO 14001の専門委員会ISO/TC 207の総会がバンコクで行われ、改定ワーキンググループの第二回会議でWD2が作成される予定。改定にあたっては、環境パフォーマンスの要求事項の明確化、環境マネジメントシステムと組織の本来業務との関係性の強化、ISO 26000(社会的責任に関する手引き)との整合性などが検討事項としてあがっています。

  • ※2 IS、FDIS、DIS、CD、WD、NP
    ISO規格策定は一般的に次のように進みます。
    【提案段階】新業務項目提案(NP: New work item Proposal)
    【作成段階】作業原案(WD: Working Draft)
    【委員会段階】委員会原案(CD: Committee Draft)
    【照会段階】国際規格案(DIS: Draft International Standard)
    【承認段階】最終規格案(FDIS: Final Draft International Standard)
    【発行段階】国際規格(IS: International Standard)

品質マネジメントシステム ISO 9001

次期ISO 9001は2015年~2016年となる見込み。

改定のコンセプト検討はこれから。

2011年末から2012年3月にかけて行われたISO 9001の定期見直しのための投票の結果、ISO 9001:2008の改定が決定されました。2012年6月に開催されるTC176/SC2/WG24会議において、規格の設計仕様書の作成がはじまり、設計仕様書において規格改定のコンセプトが検討されます。

道路交通安全マネジメントシステム ISO 39001

注目のISO 39001はFDISに。

JQAはFDIS※2( 最終規格案)から審査登録サビスを開始します。

道路交通安全のために、さまざまな企業や組織が取組むべき要求事項を定めた道路交通安全マネジメントシステムISO 39001の策定作業が進められています。現在ISO 39001は、この秋の発行に向け各国の承認を得るFDISに向かう段階にあります。JQAはISO 39001の国内審議委員会ISO/PC241※3の規格策定に参画し、世界で唯一ISO 39001のDIS(国際規格案)に基づくパイロット審査※4で規格と認証スキームづくりに協力してきました。JQAはこの知見をもとに、FDIS発行と同時に審査申し込みを受付け、FDISによる審査登録を開始し適合組織には適合証明書を発行します。この審査で適合証明を受けられた組織には、IS発行次第、円滑に移行していただける準備もしています。

JQAにはすでに運輸事業者はもちろんショッピングセンターやレジャー施設、道路の設計・施工に関わる組織をはじめ、自社製品の配送車両や営業車両の事故防止を目指している企業・組織から多くのお問い合わせをいただいています。

  • ※3 ISO/PC241国内審議委員会
    2009年7月に国土交通省の主導によって設立された日本国内の委員会。国際会議に提出するコメント(意見)を審議する。ISO/PC241は国際的にISO 39001の策定作業を行うISO専門委員会で、メンバーは議長国のスウェーデンをはじめとする37カ国とWHO(世界保健機構)など11団体。
  • ※4 パイロット審査
    JQAと受審組織が、通常の審査に先行して予備的、試験的に行う審査。ISO 39001ではパイロット審査先は、陸運会社、損害保険会社、自動車リース会社、コンサルタント会社の計5社。

情報セキュリティマネジメントシステム ISO/IEC 27001

ISO 27001は2013年10月のIS発行を目指して改定中。

HLS※1に沿った規格構成になることが決定的に。

ISO 27001は、現在改定作業中で現在CD※2段階です。今回の改定作業では、リスク対応の観点からISO 31000(リスクマネジメント―原則及び指針)とGuide73(リスクマネジメント―用語)との整合が検討されています。また、HLSに沿った規格構成となることが決定的で、今のところ2013年10月のIS発行というスケジュールになっています。